日頃、拙作にお付き合いをいただき、まことにありがとうございます。
「投げる小説がないんなら近況ノートをぶん投げて時間を稼ごうじゃあないか!」的な何某。
久々の「あるにはあるんだけど本編中ではあまり意味のない、この先の作中で真っ当に触れる機会なんかまずないだろう設定」のおはなしです。
今回は二章から「本格登場」と相成りました、トリンデン卿に関するおはなしです。
前回は↓でした。
https://kakuyomu.jp/users/toNo_ddd/news/16817330649563507665トリンデン卿、覚えてくださっている方がいたら嬉しいなぁ――くらいのやつなのですが、実は一章の時点で存在だけは示唆されていました。具体的には16話。
https://kakuyomu.jp/works/16817139558574088770/episodes/16817139558581143301----------------------------------------------------------------------------
「魔物の討伐隊にはシオンも参加するみたいだよ」
「シオンにいちゃんも?」
「うん。なんだかコートフェルのえらいひとがお願いに来てたみたい。こう、こんな感じの――隼かな? 鳥みたいな絵がはいった紋章のマント留めをつけたひとが、シオンにぜひやってほしいって」
「……トリンデン卿だ」
呻くユーティスの声は震えていた。
「ユート、それ知ってるひと?」
「知ってるも何も、領主さまだよ! オルデリス公領の領主さまで、コートフェルの執政官!」
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――以上です。
具体的な役割は身も蓋もなく言ってしまえば「シオンへの箔付け」。
「休業中なのに領主さまから直々に依頼されちゃうすごい冒険者のシオンおにいちゃん!!!」というハッタリをぶち上げるために存在が示唆されただけのキャラクターでした。
なので、そもトリンデン卿なる人物の存在が前の話で言及されていたことからして、覚えていらっしゃる方どれくらいいるんだ? というくらいのアレだとは重々承知しております。
さらに言えば、それがシオンの数ある冒険譚のひとつとして適当にぶち上げられた「あらゆる風と波を鎮める《凪の船》と、《謎の放蕩貴族》を自称する青年レドにまつわるみっつの物語」(※そもそもこちらを覚えている方がいるのかだってあやしい)で名前が出てくるだけの、「レド」なる何某と同一人物と言われてたところで、「何じゃそりゃ」というレベルのアレだということも、重々承知しております。
が。
そのうえで。
この設定は以前にちょっとした伏線を張ってあったということを、ここで明言させていただきたいのです!
具体的には22話! シオンと冒険者パーティを組んでいた仲間、ビアンカ達が《果てなる海の嵐竜》討伐にまつわる話をし始めた↓のあたり!!
https://kakuyomu.jp/works/16817139558574088770/episodes/16817139558582946100----------------------------------------------------------------------------
「そう。もうパズルなんか解かない、パズルなんか二度とごめんだ――って、みんなで愚痴って喚きながら、どうにかこうにか迷宮パズルを解ききった後のお話。頭も体もくたくたにくたびれきった私達がやっと人里へ帰りついた、その矢先にね。レ――」
不意に口吻を結んで。
まるでその時の疲れまで思い出してしまったみたいに、ビアンカは力のない笑みを広げる。
「フレデリク・ロードリアン・ディル・トリンデン=オルデリス公爵――股肱の腹心たるオルデリス公爵を伴って現れたこの国の王太子、アルトレオン殿下じきじきに、王都へのご招待をいただいたってわけ」
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登場のための布石です!!!!(強弁
よろしくお願いいたします!!!!!!!(強弁
本当のところを言えば、後で拾おうと思って事前に張っておいた糸の一本くらいのしろものでした。
ここ、ビアンカはトリンデン卿のことを「レド」と呼びそうになって、途中で気づいて言い直していたのです。フ「レデ」リク→「レド」です。
そういうアレでした。
それだけのおはなしです。すみません。
当初の予定だと、シオン達がアンフィスバエナを倒した後に遺跡に関するこもごもを片付ける話が書かれる予定があり、そこでシオンとトリンデン卿が妙に気の置けない――というか容赦のないやりとりをするのを通して、上記の内容を遠回しに回収する予定でした。
しかし、いざ書き始めてみるとこれがどうにもうまくまとまらず。
というか、ぶっちゃけこのシーン要らないよね?
話が長くなるだけで、この先の作劇上何の意味もないよね?
というか、こんなの書くくらいならもっとちゃんと書いとかなきゃいけない話があるよね?
ということで、現在の流れに急遽変更となり。
これに伴い完全に宙に浮いてしまった内容を、二章で拾ってみたという経緯でした。
二章のトリンデン卿は舞台を整える役割というか、進行役と狂言回しを兼ねる役割を担ってもらっています。
今の時点だとなんか変な貴族のあんちゃんみたいな感じの方ですけれど。
ともあれ、今回はこの辺りで。