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四月二十一日の備忘録

お疲れさまです。
吉野諦一です。

小説のジャンルとテーマについて考えていました。
ここでのジャンルとは「ファンタジー」「ミステリー」といった分類を、テーマとは「別離」「人間の葛藤」といった主題を指します。
このあたりは指南書・参考書等々でも解釈の分かれるところですので、さらっと流しておきましょう。

まずはジャンルについて。
現代小説においてジャンルは区別化が非常に難しいです。なぜなら書店に並んでいる作品の多くは、複数のジャンルにまたがって作られているからです。
青春と恋愛、ファンタジーと政治・経済、果ては本来水と油だったはずのミステリとSFでさえ融合して大衆に受け入れられている状況です。

個人的には、過去から使われているジャンル区分はもう役に立たないと感じています。ですがネット小説のサイトで作品を検索するときは一つのジャンルでしか調べることができませんよね。
たとえば六割ファンタジー、四割恋愛というような要素を含む作品(分類上はファンタジー)の場合、作者が両方の要素を楽しんでほしいと思っていても、その作品に辿り着けるのはファンタジーを検索した人のみです。
そういった人たちは六割のファンタジーを見て満足するのでしょうか。四割の恋愛を邪魔だと感じたりはしないのでしょうか。

ソフトクリームと同じです。バニラとチョコのダブルツイストが好きな人が多数派だとしても、バニラもしくはチョコだけの味を楽しみたい層は必ず存在します。
なのに私たちは数多く並ぶバニラ味のソフトの中から純粋なバニラを見つけ出すことができない。周りがバニラでコーティングされたチョコアイスなんてものも可能性としてはあり得るのですから。

上記のたとえはやや極端ですが、ジャンル区分が難解なのは確かだと思います。
いろんな要素を一つの作品で楽しみたい、というような人でも苦手なジャンルが交ざってくると読み進めづらいこともあるでしょう。

書き手からできる配慮としては、もはや古典的手法である「タイトルですべてを説明する」が鉄板でしょう。どんなジャンルかに興味を持っている読み手はだいたいこれで判断すると思います。
次に「あらすじを詳細にする」。これはあまり効果がないかもしれません。出典不明ですが、あらすじは短く簡潔な方が好まれると聞いたことがあります。
個人的な意見を言えば、僕は文庫本裏のあらすじが好き(特にメディアワークス文庫)です。長くて且つ魅力的なあらすじが書かれている本を衝動買いする程度には好きです。
他にはがっつりジャンルを明記する、とかですかね。これは皆さんやってるかなと。効果のほどは知りません。

さて、ここまで話しておいて触れていないことがあります。
検索方法はジャンルだけじゃありません。タグ、カテゴリ、キーワードといったサイト内検索の手段は残っています。
タグは作品ごとに設定できますから、ここにジャンル名を入れたり要素を加えたりするわけですね。まぁ便利。
ですが――その使い方、ちょっともったいなくありません?
そこで作品に眠る主題《テーマ》が活躍するのです。



長くなってきたので続きは次回。
備忘録なのに前後編にしていいのか。

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