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『コナサセ唄いて童泣く』おすすめの読み方

こんばんは。いやー! あんごー! な夜です。ありがとう創造神。ありがとうMACKちゃん。

掲題、これ昨日気づいたんですけど、本作縦読みした方が楽しめるかなーって思いました。

と、言いますのも、僕の大学時代の友人に認知心理学をやっていた人間がおりまして、そいつが一時期参画していた研究のテーマの意訳が以下。じゃじゃん。

『日本人の未来は左にあるのか?』

こちら「文字を読む方式と時間の方向性の認知との間には相関があるのではないか?」という研究です。
結局のところ論文になったのかは知りませんが(Google scholar探しても見つかんないし)、「文字を読む方式」とはいわゆる「横書き・読み」と「縦書き・読み」です。これと「現在過去未来の認知」の関連性について研究します。

「現在過去未来の認知」が分かりにくいですよね。例えば、手前から奥に向かって伸びる一本の道があれば、漠然と「奥が未来だなぁ(=これから先に進むところだよなぁ)」と思いますよね。

ところがこれ、欧米人だと逆だと捉える人が一定数いて、どうも彼らは「未来は来るもの」という認識があるから「奥から手前に来る(未来は手前に来る)」という認識になるそうです。
東洋人は多くの我々がそうであるように、「未来は行く先」なので「手前から奥へ行く」認識になるのだそう。

つまり、「奥か手前か?」で時間軸の認識に差があることが示されましたね。
これを文字を読む方式、「横書き・読み」か「縦書き・読み」かに当てはめます。

さて、多くの言語における文章は後に行けば行くほど意味が深まる構造ですよね。つまり「後の方に意味がある=後の方に未来がある」。そしてこれに文字の読み方の方式を加味すると、

「横書き・読み」→文字列の右に行くほど意味(=未来)がある。

「縦書き・読み」→文字列の左に行くほど意味(=未来)がある。

というような解釈はできますね。
僕の友人が行っていた研究では、これに

「横書き・読みの場合は左から右の推移の後に下方向へも移動する。故に右、下、右、下と時間軸の認識がズレるのではないか」

「同じ日本人の中でも縦書きの書体(=書籍)に慣れた人と現代ツール(=Web、横書き)に慣れた人とでは差が出ることになるのではないか」

などなどといった追加考察がされていたのですが、それはまぁ置いておいて、この理論をミステリーに当てはめてみましょう。

ミステリーも多くの小説同様に物語のラストに比重が傾きます。ただこれは僕の持論ですが……謎解きやサプライズを用意するミステリーは他の物語に比べてよりラストの比重が重いと思うんですよね。言い換えれば未来への期待度が高い。

先程チラッと「横書き・読みは右、下、右、下……」なんて話をしましたが、横書き・読みは「結末(=未来)へのアプローチ」が階段仕様なんですね。一方縦書き・読みは上下の往復はあるのですが右から左へ深まっていく(=右から左に行くと未来がある)形式になっています。漠然とですが、縦書き・読みの方がゆっくりじわじわ進む感じ、ありませんか? 僕だけ? まぁ僕だけかもだけど……。

さぁそんなこんなで。
『コナサセ唄いて童泣く』、縦読み推奨します。飯田比的に重めな文体なので、ゆっくりじわじわ読んだ方が満喫できるかなー、と。お楽しみに一気にかぶりつくのもありですが、そういう人は多分あらすじ読んじゃってるだろうしね(賞の規定上、本作のあらすじは結末まで記載しなければなりません)。毎週の連載を楽しみに=じわじわ楽しみたい方はよりじわじわしてみてはいかが。

長くなりましたが僕からは以上です。
まぁ、どんな読み方でも楽しけりゃ勝ちなので縦読みでも横読みでも好きに読んでください。メーカーおすすめの味わい方を紹介したまでなので、読者様の楽しみ方にケチをつける意図はございません。

次回更新は8日18時を予定しております。
よろしくお願いします。

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