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映画「新聞記者」に思うこと(その1)

 松坂桃李、シム・ウンジョンW主演の映画「新聞記者」。先週観てきました。政府に「東京新聞の特定の記者」と“名指し”された望月衣塑子記者の同名の著書を原案にした作品です。面白かった。小説「政治的未関心」を「カクヨム」にアップした私にとっては、勝手に背中を押してもらった気分です。ネタバレしないように、ストーリーは評論家に任せます。今回は実写映画の実現と全国公開に漕ぎつけた背景を勝手に推測してみたいと思います。

 最初の興味は、女性記者役のシム・ウギョンの起用。ここ数年、内閣官邸が“隠そう”と必死な題材にスポットを充てた意欲作だけに、主演女優のキャスティングは難航したんだろうなとネット検索したら案の定、蒼井優や満島ひかりには断られたという話。個人的には、真木よう子や篠原涼子、吉田羊、米倉涼子、沢尻エリカもアリかな、と。共通点は“メヂカラ”が強いこと。でも、政府に睨まれたくないですもんね。その点、オファーを受けた松坂桃李には、その演技も含め拍手喝采ですが、NHKの大河ドラマの主役が遠のいたかな、と心配ではあります。

 次は配給会社のイオンエンターテイメント。イオンと言えば、元民主党代表で、現在は無所属の会の岡田克也議員の実兄がトップの企業。グループ企業のイオンシネマが映画館を全国展開しているのも、映画製作が実現した大きな要因だったと思います。小説でも取り上げましたが、もっとエンタメ性が強かった役所広司主演の問題作「東京原発」が劇場公開で相当苦戦したことを考えると、資金面のバックが強力なことは“マル必”です。映画化の話と配給の話。どっちが先だったのか。気になるところです。

 最後にもう一点。最近の映画製作においてはテレビ局の参画も当たり前です。収入面や放送権の獲得が主な理由ですね。だから、公開前にバラエティや情報番組で「これでもか」とタイアップ見え見えの“番宣”が公然と行われています。しかし、私が見る限り、本作品を取り上げた番組はありませんでした。テレビ局も政権を忖度したのでしょうか。「何かなぁ」。メディアとしての頼りなさ満点ですが、劇場では中高年を中心にヒットしているとのこと。次回はネタバレのない範囲でお知らせできれば、と思います。

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