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自由のために20

https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818023214253339188


 グルグルとめぐる思案。どうしよう、なにをやろう、まとまらない考え、流れ続けるコメディ番組。



 ……仕方ないな。



 考えた結果、酒を飲む事にした。
 体内の酒を抜くためにあの手この手を尽くしていたというのにこれでは本末転倒である。しかし他にやる事もない。長く続く夜を素面で過ごすというのも残酷な話だ。これはもう、今日明日は人生からなかった時間であると開き直り腹を据えて飲むしかないと決断。なんと非合理かつ滅裂な選択だろう。しかもこの時の俺は、“過剰な飲酒による不調を過剰な水分補給で戻して相殺されたわけだから、今から飲むのはもはや宵の口だろう”というまったく頭の悪い理論を展開していたのだった。内臓や脳へのダメージを懸念していた正常さはもうなくなっている。しかしルームサービスのメニューにある酒を見て「この金額は出せない」という倹約家、あるいは守銭奴、貧乏根性による冷静な判断はできたため、二十四時間稼働しているショップへ片道十分かけて出かけ物色。ついでに屋台で軽く一杯ひっかけ(フィッシュアンドチップスの屋台が出ていた)、なんだかんだで一時間が経過。もはや朝に近い時間に、本当に酒盛りなど初めていいのだろうかと我に返りそうになるも、「まぁいいだろう」と珍しく楽天的な気持ちで一人ごち、部屋へ戻ったのだが、異変に気が付く。



 ……誰かいる。

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