https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818023213607577355「アシモフ君」
「あ、はい」
「せっかく完成品を見に来たんだ。ボケてちゃいけないよ」
「あ、すみません。ちょっと、今後の展望について、啓示のようなインスピレーションが走りまして」
「先の事も大事だがね。しっかり今を見ないと足元をすくわれる?」
「胸に刻みます。まぁしかし、テスト通り良好ですし、数値の面でも問題が……あ、座標に不備がありますね」
手にしたデバイスに送られたデータを確認すると、一部のユニットにおいてZ軸とY軸にエラーが表示されていた。三次元制御システムに問題が生じていたのだ。
「多数のユニットを同時稼働させる関係上、僅かな歪みが全体に影響し機能しなくなります。少数郡対でのテストで不備の発生は確認されていませんが、全数での正常稼働率は六割となっていますね」
「ユーリさん。それは予めご連絡いただきたかったですね」
「申し訳ございません。ただ、全数を前提とした使用は想定されていないかなと」
「要望を勝手に決めつけちゃいかんでしょ。未完成の状態での納品なんて受け付けられませんよ」
「そこはご安心ください。現在は自動で環境データを取り込んでいますが、手動入力する事によってこちらのエラーは防げます」
「とはいえねぇ……」