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自由のために14

https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818023213536703243


「アシモフさん、どうかいたしましたか?」



「あぁ、いえ、すみません。ところでユーリさん。あのシュバルツさんって、どういう経歴なんですか?」



「え?」



「あぁいや、すみません。見たところかなりお若いようなので……」



「あぁ……あの、申し訳ないんですが、シュバルツについて……というか、弊社の社員についてはあまり分からないんですよ」



「分からない?」



「はい。うちの会社は完全実力主義でして、求めている仕事ができる人間かどうかをテストしているんです。それに合格すれば無条件で社員となります。あ、無条件というのはあくまで採用に関する事柄だけでして、労働条件等はこちらの提示した内容に納得していただく形となりますね」



「では、シュバルツさんの素性は不明だと」



「はい。入社希望者としてやってきまして、それでバグチェックとプログラミング。それとマニピュレーターの組み立てから稼働までの試験したんですが、極めて優秀な結果を叩き出して採用となったわけです」



「なるほど。ご出身とかはどちらなんですかね」



「ちょっとその辺りは個人情報となりまして……」



「あ、すみません、そうですよね。失礼いたしました」





 コンプライアンスの壁に阻まれ情報収集を断念。「ぜったい住所不定無職でしたよね」と明け透けに聞けるわけもなし。交渉力があればもう少し色々聞き出せただろうが俺は口下手だし計略を用いるような頭脳も持っていなかった。

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