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自由のために12

https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818023213378045946


君が変わっていくのが面白くない」



「は?」



「はっきり言うとだ。僕は君について、商売が上手な人間だとは思っていなかったんだよ。実力以上の運でのし上がった半端者だって半ば小馬鹿にしていたんだ。だが、それ以上に、愚直で小心で的外れで面白い君を気に入っていた。経営者って感じがしないのに結果を出しているところが特に面白かった。仮に失敗しても助けてやろうと思っていたさ。だけどね。君は失敗どころかどんどん金を稼いで企業を大きくしていく。今やアシモフグループはチューコなんて目じゃない成長ぶりじゃないか。感嘆に値するよ。けれどね。企業を大きくするために君は君の美点を、僕が好きだった部分を捨てていった。あるいは、そういった部分こそ偽りだったのかもしれないが、少なくとも僕が評価していた部分は大分薄れてしまった。今君が失敗したら助ける事もできないし、本気で助けたいという気持ちも湧かないだろう。それだけ、僕と君との間には差がある。それが気に入らないのさ」

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