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なぜここにいるのか その1

ここは近況ノートだ。
小説の作者が、読者に対して何事かを呟く場所だ。何事かというのは、次回作の構想かもしれないし、愚痴かもしれないし、あるいは日常の報告かもしれない。
これから私がここに書くことは、愚痴である。長い長い、散々な目に遭った日々の話だ。
プロの小説家だったら、本来やってはならないことである。金を払って作品を読んでいる読者に愚痴を呟くなんて、甘えに過ぎないから。
プロでもない私が愚痴を吐き散らすのはどうかといえば、これもまた褒められたことではない。ここの読者は金は払ってないだろうが、貴重な時間を費やして小説を読みに来ている。他人に時間を無駄に使わせるのはいけないことだ。

だが、あえて書く。
それは私にとって書かずにはいられないことであるから。しかし作品として昇華するべき話でもないから。だから、ここに書くしかない。
読者にとっては――特に、これからプロになろうと考える人にとっては、なんらかの教訓となるかもしれない話だが、同時に劇薬でもありうる。

私は元はプロのライターであり、企画屋であり、数多くのプロを送り出してきた人間でもあった。私のアドバイスを受けて小説家として大成した人もいるし、企画の提供を受けて一億部以上の売り上げを出した漫画家だって何人もいる。
自分で言うのもなんだが、腕利きではあったのだ。
だが、規格外の能力は、その持ち主を不幸にする。普通の人間が決して遭遇しないはずの事件に遭遇してしまったのが、転落の始まりだった。

そうして仕事も失って、今は仕方なく、貯金を切り崩しながら、こうして駄文を書き連ねているわけだ。
なぜここにいるのかといえば、他にやることもないからだ。
そこに至るまでの話を、しようと思う。

実話である。
そして胸糞話である。
気分で連載していくだろうが、逆に、すべて消してしまうかもしれない。
繰り返すが、これは劇薬だ。読んでしまった人間が、そのあと、夢を捨てることになったとしても、私は責任を持たない。
自分の意志で覚悟を決めて読んでほしい。
日々を楽しく暮らしたいなら、こんな話は聞かずに、今すぐにブラウザなりアプリを閉じて、日常に戻るのがマシだろう。
本題が始まるのは、次からだ。

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