私のうつ病になってからの10年間は、土砂降りのグラウンドみたいだった。
私は野球がやりたくて、山の奥にグラウンドを作った。
でもいざ野球をやろうと思うと、ざあざあ振りの雨が降る。
水浸し、ぐちゃぐちゃになったグラウンド。
僕はバットを置き、トンボを取って、一生懸命地面をならした。
整備が終わって、やっと野球できると思ったら、また土砂降りの雨が降る。
直しては壊されて、直しては壊されて、
まともに野球なんて出来ないまま。
グランド整備ばかりの十年間。
私は野球が好きだった。
野球のために一生懸命、毎日グラウンドを整備した。
でも、ほとんどバットは振れなくて、
ちっともボールを投げられない。
毎日野球してどんどん上手くなっていく人たちが羨ましくて、
私も早く頑丈なグラウンドを作れるように苦心した。
「怠け者だ」と私は言われた。
「お前は全然野球の練習をしていないじゃないか、やる気はあるのか?」って、
違うんだ。
やる気ならあるさ。誰よりも。
私は世界一の努力家だ。
野球を誰よりも愛してる。
ただ、私は、グラウンドに恵まれなかった。
常にどこかが故障していて、治すことに手一杯。
私は、恵まれたグラウンドでのびのび野球してる奴らとは、違う次元で努力している。
どん底で死ぬ気で努力している。
共感できる人間は、同じくどん底を知っている人だけだと思うけど。
翼をむしり取られた鷹、はじまりの街に閉じ込められた勇者、
例えるならばそれが私だ。
でも何時までも悲劇のヒーローを演じているつもりはない。
私は壁を打ち破る。
私は野球の練習は出来なかった。
でも、この10年間、グラウンド整備を毎日続けて、
鍛えられた足腰、底知れぬ体力、諦めない気力……
すべて私のなかに蓄積されている。
何一つ、無駄なことなんてなかったさ。
私は壁を打ち破る。
そして証明するのだ。
私の同胞のために。
私と同じように苦しむ人たちの、希望や救いとなるために。
【あとがき】
ふと思いついたので書きました。
嫌な感情をぶちまけちゃいましたが、私のありのままの心情ということで、
執筆、大学の勉強、恋愛、友人、旅行。
どれもメチャクチャやりたいです。
でも、なかなかそこまで手がつけられないんです。
私が苦戦しているのは、それ以前の段階なので。