三月ももうすぐ終わります。今さらですが、KAC2023の振り返りです。
お礼できていないレビューへのお礼もここで。レビューをいただいた方の中には、「お礼不要です」と書かれている場合もあり、ご迷惑かもしれませんが、大変うれしかったので、ここに感謝を記すことをご容赦いただければ幸いです。
また、お礼はレビューだけに絞っていますが、星や応援ハート、コメントなどいただいた方々も、ありがとうございました。
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『なんでも切り裂く☆デスクロー』
お題の「ぬいぐるみ」といえば秘密を目撃する者……。というわけで、最初はもうすこしドメスティックな暴力にさらされた女性がぬいぐるみのお手てに刃物を、目に隠しカメラを、腹に爆弾を詰める話を考えていました。そこまで仕込むのは時間的に厳しくなること、ぬいぐるみの制作者を入れたことで違う方向へ。
この作品と『先輩の筋肉と~』では踏み越えましたが、実際の事件を想起させる内容を取り込むのは大変抵抗があったし、抵抗があってしかるべきと今も思っています……。
『俺はうるさいのも変化するのも嫌いなんだ』
一匹の猫が外で戦い、人に飼われ、老衰で天寿をまっとうするまで。ちょっとわかりづらいところもあったのではと、反省。タイトルももうすこしリズムの良いものにしたかったです。
『先輩の筋肉とわたし』
「筋肉」イコール暴力から着想。モチーフ的にアップするのを迷いました。
人に理解されない、かつ、自分の生命を危険にさらす性癖×性欲と恋愛感情の乖離×性暴力の間接被害(直接の被害者ではない)などなど、詰め込み過ぎた感があります。
想定以上に多くの方に読んでいただいて、感謝しかありません。誰にも伝わらないのでは……と思って書いたので、こぼねサワーさん、宮塚恵一さんにレビューまでいただき、とてもうれしかったです。ありがとうございました。
これは本当に「おそらく0PVだけど、自分にとって完成させることに意味がある」との思いだけを支えにして書いたので、★、応援、ツイートなどいただいたのは僥倖でした。
被虐性癖については、ベス山ポピーさんの『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』という名著があるので、主人公像はズレるように気をつけました。
『アンラッキーセブン』
「アンラッキーセブン」って、戦隊ものの名前っぽいなと思ったことから。きれいなヘンリー・ダーガーみたいな話になりました。ラスト、せめて、男の名は伝わっていてもよかったのかもしれません。
「物語のエネルギー」にふれてくださった雨蕗空何さん、「名画座で掘り出し物を発見したときに似た読後の余韻」と書いてくださったこぼねサワーさん、レビューをありがとうございました。
このお話に限らず、「誰にも届かないのではないか」と思いながら書いているので、レビューや応援コメントは本当にうれしいものだとあらためて感じました。
『ライターが書くグルメ原稿の下にはぐちゃぐちゃした現実が埋まっている』
ライターネタ。モデルにした店はちゃんと(?)あり、鶏料理がめちゃくちゃ美味しい店でした。岡山でホロホロが育てられているのは、「天文台もあるし、宇宙に近い場所だと思っている」とご当地で聞いたことがあるから。
何も考えずに笑って読んでほしかったので、尾岡れきさんのレビューがうれしかったです。ありがとうございました。
『「言い訳する関係は長続きせんよ」とママは言った』
ミヤちゃんみたいな自信満々の女の子が好き! ミヤちゃんみたいな子をもっと魅力的に描けるように精進します。
「いいわけ」というお題上、ほかの方の作品はホロリとしたり甘酸っぱかったり、大変エモーショナルで。「なぜこんな理解を拒む話を……」と思って書いたので、こぼねサワーさんのレビューはたいへんうれしかったです。ありがとうございました。
限られた時間内にいくつか作品を書いたことで、自分が何を書いてしまう人間なのか、自分は何に興味があるのか。いろいろ芋づる的に思い出したり、わかったりしたイベントでした。
また、こういうイベントは、他の書き手の方のすばらしい作品と出会える貴重な機会なのだと今さら理解しました。いつもカクヨムコンのときは留守にしているのですが、次回は何らかの形で参加できたらいいのかな……と。
それでは、長編『庭師とその妻』完結に向けてがんばりたいと思います。