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謝辞、そして二〇〇八年のボカロ文化のこと

『サマーナイト・レポート』にてdoriko様の名曲『ぶちぬけ!2008!』の歌詞を引用させていただきました。突然のメールにもかかわらず快諾いただき、doriko様には大変感謝しております。ありがとうございました。

 しかしニコニコ動画は大変なことになってしまいましたね。本来であればリンクさせていただきたかったのですが、残念です。youtubeにも上がっているようですが、ご本人様名義ではなかったので、リンクは避けておきます。ニコニコ動画の復旧を心から願っています。

 ちなみに『サマーナイト・レポート』の舞台がなぜ二〇〇八年なのかですが、順序としては「人工生命体を名乗る女の子と自転車で海を目指す」というアイデアがまずあり、主人公の立場をどうしようかと考えていたなかで「三〇代の主人公が過去を回想するかたちで描こう」と思いつきました。それにより「彼女」の言っていることが嘘なのか本当なのか、より曖昧にできると思ったからです。

 それでは、いつからいつを回想するのか。
 「いつから」のほうは現代(書いているうちに二〇二四年になってしまいましたが)で良いとして、いつを回想するのか。
 主人公の記憶を曖昧にするには一〇年以上は過去にしたいですし、逆にあまり過去になりすぎても、小さな後悔や過去の痛みが完全に消化されてしまい、主人公の中で語ることがなくなってしまうように思います。
 その範囲の中で、私の頭に浮かんだのが、『ぶちぬけ!2008!』というボカロ曲と、二〇〇八年という年でした。

 二〇〇七年に初音ミクが登場したときは本当に衝撃的で、私の中では二〇〇八年頃がいちばん盛り上がっていました。サブスクも(たぶん)なかった時代、毎日のようにニコニコ動画に新曲がアップされ、無限に良曲が聴けるというのは、新時代の到来を感じましたね。私に近い世代の方は、同じような体験をされた方も多いのではないでしょうか?
 当時のボカロはまだ、現在のSynthesizer VやVoiSonaに比べて人間らしくはなかったのですが、作中で「彼女」が話しているように、過剰な感情がなかったことも、当時の自分にとっては逆に良かった気がします。

 別段ボーカロイドを主題とした作品ではないし、あまりノスタルジーだけの小説にもしたくないとは思いますが、せっかく回想形式で書くのであれば、当時のあの空気を少しでも感じていただけたら……と思い、『ぶちぬけ!2008!』の引用に至った次第です。
 当時を知る方にも当時を知らない若いボカロファンにも楽しんでいただけると良いのですが。

 なお、作中の数字は漢数字で統一していますが(小説は縦書きで読みたい派)、『ぶちぬけ!2008!』は原題に準拠し、算用数字で表記させていただきました。

追記(2024.08.06)
ニコニコ動画が復活しましたのでリンクを貼らせていただきます。
『ぶちぬけ!2008!』
https://www.nicovideo.jp/watch/sm1853135

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