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ツイッターの今日のトレンドは。

 僕は、ツイッターはROM専です。曾て、ひょんなことで友だちを炎上させて以来、僕は鍵垢を使い続けています。
 ひょっとしたら、僕は所謂「サークラ」としての才能があるのかもしれません。

 ツイッターでつぶやいたりリツイートしたら、趣味の合う友だちと出逢った。同じ趣味を持つ者同士、話もよく合う。そして、小さなサークルが自然と結成された。そんなある日、友だちの一人はオフ会を提案した。当然、僕は参加することにした。しかし、直前になって怖くなった。僕は自分を偽っていたからだ。オフ会に参加すれば露呈する。サークルは崩壊しかねない。だから、当日の朝に仮病を使って辞退した。予想だにしないことは、その翌日に起った。サークルメンバーAによる告発だった。それは綴られた百余りの連続ツイート。内容は、サークルメンバーBの裏切り行為だ。Bは、僕と付き合っていること。自分の彼女を見せびらかすためだけに、サークルを立ち上げたこと。オフ会を提案されると、イケメンのサークルメンバーCに彼女を取られるのを恐れて僕に辞退させたこと。Aの感情のこもった文章を読んで、僕の感想はあの一言に尽きた。
 ペンは剣より強し、と。
 実際に事実であるか関係ない。ただ説得力のある文章があれば、皆は信じたがる。Aの文章に、僕は敢えて否定しなかった。僕はBに「どういうこと?」ってDMを送った。
「何で来なかったの?」
「37度7の熱を出してる。迷惑かけたくないの」
「実際に迷惑かけてんだろ」
「そうだね。ごめんなさい」
「美少女だと思って期待すれば、とんだ地雷女だ。きっついわー」
「(Bの名前)くんも、そんな目で僕を見るの?」
「ああ、そうだよ。男は皆そう見るさ。本能だからね。君も罪な女だぜ。見る目がなくて俺は馬鹿だマジで」
 そしてDMが送れなくなった。
 僕はAに「何がしたいの?」ってDMを送った。
「君を守るためさ」
「僕は守られる側の人じゃないよ」
「それでも、俺は守る側でいたいんだ。君を独り占めしたい。サークルなんてやめて、二人でオフ会しよう」
「僕は(Aの名前)くんが怖い。オフ会なんてできない」
「なんで?」
「だって(Bの名前)くんと付き合ってたの誰にも言ってないよ。興信所なの?」
「やっぱ付き合ってたなおまえら。ねえヤったの?ヤってないなら許すが、ヤったならおまえは要らないよ」
「(Aの名前)くんに教える義理はない。付きまとわないで」
「ヤったの?ヤってないの?教えてよ」
 僕はAのアカウントをブラックリストに入れて、自分のアカウントに鍵をした。

 どうしようもなかった出来事、と思っていました。ただの偶然で、勘違い。しかし、今日のツイッターのトレンド「女性的領域」を見て、ジェンダー座標テストを受けたら、僕は気づきました。
 日々流れる一刻一秒の中、自分のことを誰かは見つめているかもしれません。本当は分かっていたことです。本質は隠しても隠しきれません。そして隠し事は不信感を呼びます。最終的に、蓄積された猜疑心は、人を凄腕の探偵に仕立て上げます。悲劇を避けたければ、最初から隠し事をしない、というのは一番ではありませんか。

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