最上へきさ

「どうして生き残ってしまったのだ――お前だけが、たった一人で」 勇者アシェルは魔王を討った。 何よりも大切だった四人の仲間を犠牲にして。 司祭ラフェンディ――神聖皇国の次期皇…

【毎週　火曜　更新予定】 復讐のために犯罪に手を染め、死刑囚に身を落とした元騎士の青年カズラ。 脱獄を目論んだ彼に言い渡されたのは、勇者の血を引くご令嬢の家庭教師!? しかし…

「儂は認めんぞっ！　聖王の血を引くお前が、穢れた魔族の娘と結婚するなどっ！」 「認めてくれなんて言った憶えはない！　僕達は結婚すると、伝えに来ただけだっ！」 　父であり王でもあ…

魔王が倒れたことで、世界は救われた。 　国は復興を遂げ、人々の暮らしは元の豊かさを取り戻しつつある。 （だが、俺は救われなかった） 　聖剣を引き抜いたその日から、勇者と呼ばれ…

　かつての僕はイチハラ・タクミという冴えないサラリーマンだった。 　ある日、納期前のデスマーチ中に突然倒れて、気付くとこんな完璧超人に生まれ変わっていたのだ。 （どうやら僕は、…

　俺の名前はタイラ・マサツグ。 　自分で言うのも何だが、抜山蓋世の大英雄だ。 　いや待ってくれ、別に誇大妄想のナルシスト野郎って訳じゃない。 　実際、俺はこれまで異世界転移を繰…

これは、のちに魔王と呼ばれる死霊術師の手記である。 死をきっかけに異世界から転生した男子高校生シバネ・カズト。 手に入れたのは死体が継ぎ合わされた肉体と、死霊術の知識、そしてあ…

「……ここ、どこだよ？」 　思わず俺はつぶやいた。 　ほんの一瞬前まで、俺は駅の改札を通ってホームに向かっていた。 　いつもの電車に乗って、いつもの道を通って、いつもの教室に辿…

「ええっと。君は、ヘルミーナ叔母さんの……メイドかな？」 「…………」 　長い銀髪を揺らしながら、少女が首を振った。 　例え暗闇の中であろうと人目を引く。そんな少女だった。 　…

「ひと目見た時に気付いたよ！　わたしと君は添い遂げる運命だ、ってね！」 　あ、ヤバい人だ。 　僕は彼女を見た瞬間に気付いた。 　――僕達がいたのは、冒険者が仲間を募る待合所。…

「あたし、フツーより背が低いから。走らないと追いつけないんだよー」 　確かに彼女は小さかった。 　頭の天辺ですら、僕の胸までしか届かないぐらい。 「あっ、でもちょっとだけね。…

　コンコンコン。 　窓を叩く、小さな音。 　心臓が跳ねた。 　机の上の宿題を払い除けて、部屋の隅の鏡で身だしなみを確認してから。 　スマホを片手に、俺は窓の前に立った。 「…

【月・金　18時ごろ更新】 かつては世界最強と呼ばれた魔法使いの少年も、30過ぎればただの人。 引退して愛娘とスローライフを送っていたおじさんのもとに現れたのは、 亡き妻にそっく…

「――それじゃ、周防先輩。お元気で」 春。駅前のマックにて。 私は才色兼備な美少女生徒会長と出会った。 執拗にしなしなのポテトを勧めてくる彼女が語る、失恋という名の惚気トー…

「うおあああああああああああゴキブリだああああああああああああああ」 東京砂漠のブラック企業ですり潰され、実家に帰った俺を待っていたのは、ダンジョンになった実家だった!? エ…

「それとも、あれかい？　まさか君、わたしのことを待ってたのかい？」 文化祭。二人っきりの部室。 才色兼備な周防先輩は、いつもどこか的外れ。 それでも今日は、素直にならなきゃ。…

せっかく子供を助けてトラックに轢かれたのに、 「異世界はもう満員です。むしろ転生者減らしてください」 という女神のお告げで転生阻止者《フィルギア》に任命された高校生、海良寺清…

　雪深い田舎の村で猟師の叔母に育てられた純朴な少年、セシュナ。 　念願かなってエリート校「ティンクルバニア学園」への合格が決まり、 　モンスター狩りと読書だけが楽しみの故郷を脱出…

ボロボロになった俺に、大森林のエルフ達は祝福の言葉を投げる。 「お！　来たな、ニンゲン！　おめでとう！」 「おめでとう、良かったわね！」 「おー！　ニンゲンのボウズ！　よかった…

夕方。家のキッチン。 わたしのかわいい後輩が、料理をしている。 「ところで君。今日が何の日か知っているかい？」 「なんですか急に。ちょっと、あの、刃物使ってるんで離れててもらえ…

誰もいなくなった部屋。 机の上に置かれていたノート。 ■三月十七日 　今朝もダメだった。 　目を覚ますと、いつも通りの自分の部屋。 　やっぱり枕の下にイラストを挟んだぐらいで…

前回までのあらすじ： 俺の名前はマサキ・タダヒコ！ ごく普通の高校二年生だった俺は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。 「伝説の勇者」としての使命を与えられた俺は戸惑いながら…

　僕とカノジョの同居生活には、3つのルールがある。 ■ルールその一。 　家事、買い物など、生活にかかるコストは常に平等に分割すること。 ■ルールその二。 　お互いの過去を詮索し…

「おやおや、今日も今日とて執筆作業とは、精が出るねぇ南禅寺くん」 放課後。二人っきりの部室。 かわいいかわいい後輩が一生懸命原稿を書いている。 その横顔を見ていると、ついつい…

「わたし、君のことが好きだよ。南禅寺くん」 放課後。二人っきりの部室。 才色兼備の周防先輩がささやく甘い言葉。 でも違うんだ、僕は騙されない。 何故なら先輩は―― 僕のこと…

一話あたり3万字ぐらいの、アクションオムニバスです。どこから読んでも楽しめるようになっています。 タバコを吹かしながらワイズクラックしてみたり、ドンドンパチパチ銃を撃ったり、オ…

　友達もいなければ彼女もいない。開き直れるほどタフでもない。 　その上、知らない間に開催されていた同じ学科の花見会を目撃してしまった――遅れて混じる勇気はもちろん無かったぼっち大…

「神様ってさ。いると思う？」 　そう呟いた翌日に、友達が姿を消した。 　「神隠し」にあった同級生を探す女子高生、霧島美幸は、残された手がかりを元に渋谷で、生気を無くした「人形」…