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感想 第二回

幸まる様の作品『遠き鯨の国』を読みました。

このお話は、終わりのないもののように思いました。誰もが納得出来る答えなど出ないのでしょうね。

それでも争いのない世の中にしたければ、復讐心、激しい怒りや悲しみに耐えて、どうにかして互いの矛を収めるしかないのでしょうか?

どこかで終わらせなければならない。でも、納得出来る終わりなどないから中々終わらない。そうしている間に、新たな犠牲が出てしまうのでしょう。

でも、救いのない話ではないです。二人の王子が沈黙したのは、戦争を理解しているからでしょう。そう簡単には割りきれくても、どうにかして戦争という沼から這い出ようとしているように思えました。

心が疲れ果てているようでしたし、現状を憂いてもいる。だから何とかしたいけど、だけど、という葛藤。

描写については、やはり鯨の幻影が印象に残りますね。

怨みや悲しみを煮詰めたような彼等の現実との差によって、きらきらと輝く水しぶきの中を泳ぐ鯨の姿は余計に際立って見えます。

そして、美しい幻影が消えた後に残るのは現実に苦悩する人間の姿、苦知らずの国など夢のまた夢です。

最後に関しては、希望は必ずあるというような、未来の希望を描いた終わり方ではなくて、いつか希望に繋がる答えを見つけようとする人間の姿を描いた終わり方のように私は感じました。

まとまりもなく、非常に長くなってしまったので、こちらの方に書きました。

2件のコメント

  • こんばんは。

    私の作品を読んで下さり、ありがとうございます。
    最近のニュースを見ていると、一人でぐるぐるしてしまいまして…(^_^;)
    争いは良くないと言うのは簡単ですが、実際自分の家族が…と想像すれば、同じことを言える自信もありません。二人の王子と共に、読まれた方が二国の先を考えてくれたら…と願い、物語を締めました。
    考えること、それが未来を変える初めの小さな一歩かと思います。

    本居様にもたくさん考えて頂けたようで、光栄です。丁寧な感想をありがとうございました。
  • 幸まる様、こんばんは。

    ぐるぐると考えてしまうと疲れるかも知れませんが、一人一人がそのように真剣に考えなければ、平和への道は開かれないと思います。きっと必要な事だと思います。

    『遠き鯨の国』を読んだのは丁度アミルカルの話を書いていた時で、内容に通じる所もあって私も色々と考えていました。その結果、感想がごちゃごちゃしてしまいました。

    人間が想像した事(車や飛行機など)は、それが実現不可能に思えても、長い時間を掛けて全て現実になっている。あらゆる問題を乗り越えて実現させる力が人間にはある。

    というような話を何かで聞いた事がありますが、平和を実現させるには一体どれだけの時間が掛かるのだろうかと思います。
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