お久しぶりです。
新章公開から早一ヶ月……こちらをお読みくださっている皆さまがたにおかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
私は一時的に小説の筆を置き、イラストを描いておりました。腱鞘炎が完治したわけでもないのにやってはいけないと思いつつ、定期的に脳内に溜まっていくイメージを吐き出さないと、どうにも小説の執筆に集中できなくなってしまうようなのです。
ごめんよ私の右腕……そして「治りが悪い」と表情を曇らせた整体の先生にも、この場で伏してお詫びいたします(伝わるわけがない)。これから養生します。
ただ、文章も遅筆な私、絵は更に遅筆です。
元々あまり得意でないくせに、脳内の理想のイメージを具現化しようというのですから無茶な話です。しかもアナログ(どうしても紙に描きたい人)。
容赦なく消しカスの山に姿を変えていく消しゴム、消し痕と鉛筆の黒鉛に荒れる紙面、霞む老眼が捉えられぬは描線か、はたまた完成か……。
子供の時分から練習嫌いで、基礎がなってないからこういう苦しみ方をする羽目になるのですけれどね。まあ人間、何かを目指すならどこかのタイミングでは努力しないとダメだということなのでしょう。
さておき、どうにか描き上げたので生存報告も兼ねて投稿いたします。
……が、申し訳ありません、以降の記述に本編2部以降のネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
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それでは、イラストについて。
25章ラスト、王宮をゆくヴィーの姿……と、背景は彼の名に因んだ植物です(王宮の回廊の背景を描く元気が残らなかった)。
右がクマツヅラ(バーベイン)、左がセイヨウコゴメグサ(アイブライト)になります。
バーベインもアイブライトも、見た目は小さな花を咲かせる繊細な外見の持ち主。しかしながら、その見た目とは裏腹に寒さに耐え、荒地で生き延びる強靭さを持ち合わせた植物でもあります。
……あれ? 誰かさんに似てないか?
元々特性や花姿には構わず音だけを貰ってきたので、キャラクターと植物のイメージが乖離していても何ら不思議はなかったのですが、ヴィーに関して言うと妙に合っているなぁ、と描きながらひとりで感慨に耽っておりました。
ところでバーベインは主人公に名前だけ拝借しておいてどんな花かも知らないというのもあんまりだな、と思って自宅の庭に植えているのですが、アイブライトは見たことがありません。この名を私が知るきっかけとなった本は図鑑ではなかったので、小さなモノクロのカットイラストがページに載っているだけだったのです。
あまり本格的なハーブガーデンに足を運んでいないとは言え、どこかで見かけたこともない……バーベインは時折見かけるのに、と今回初めてまともにこの草について調べたのですが、画像を見るなり何これ、可愛い……花も葉っぱも可愛いじゃないか! 薬効はその名が示す通り眼に良いのだし、欲しい……庭に植えたい……! と本気で思いました。
しかしざっと調べた限り、種も苗も売られていません。
季節じゃないのか? と思ったのですが、どうやらそういうわけではなく、半寄生植物……つまり宿主になる植物が必要らしく、単独で栽培するものではないのですね。原産地のヨーロッパでは荒地に生えるイネ科の植物の根に寄生して育つそうで、強かというかなんと言うか。
日本の高山に仲間のコゴメグサが自生しているそうですが(サイトによっては昔はその辺に生えていたという記述も見かけました)、何にしても、自宅の庭で気軽に育てられるものではないようです。残念……。
さて、長々とお付き合いいただきありがとうございました。
それでは持つ筆を文のほうに戻し、執筆を再開いたします。