鮎川賞狙いの長編本格ミステリ『物理学者の密室(仮)』を書いています。
最近は本業の方が忙しめだったのですが、一区切りついたので今から勢いを付けてどんどん書いていきたいと思っています。
鮎川賞はまだしばらく先ですが、八月中にとりあえず第一稿を書いて、どんどん形にしていこうかなと考えています。
密室トリックが一つあるだけでも執筆のしやすさは格段に上がりました。
もう一つの密室トリックもあと少し頭をひねれば思いつけそうな気がしています。
ところで『物理学者の密室』という仮題で元ネタがわかる推理小説ファンはどのくらいいるのでしょう?
もちろん笠井潔の『哲学者の密室』のことです。
私は今年に入ってから矢吹駆シリーズを読んでいて、あのハードコアな重厚さにすっかりハマってしまいました。
大長編『哲学者の密室』は、私の本格ミステリ観にも少なからぬ影響を及ぼしそうです。
ところが、笠井潔は島田荘司と並んで新本格直前から現在まで本格ミステリの最前線を走り続けている作家なのに、今では作品があまり読まれていないような気がします。
難解な哲学議論がどうしても近寄り難さを感じさせてしまうからでしょうか。
もったいない。
私が矢吹駆シリーズの影響で、書こうと思い立ったのが『物理学者の密室』です。
哲学は詳しくありませんが、物理学は詳しいので、物理学の観点からだったら「密室殺人」という現象を考察することができるのではないかと思ったわけです。
正直、哲学より物理学の方が本格ミステリとは相性が良さそうですし。
難解な内容になってしまいそうですが、それでも面白いと言ってもらえるような作品を目指して頑張ります。