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『孤独な皇帝』あとがき

『孤独な皇帝』が完結しました。
いかがでしたでしょうか?
今回のあとがきは、ほとんどが反省会になります。

正直、今作は難産でした。
まず今作は、ゼロから全て考えたことがあげられます。
他の作品は何かきっかけがあって妄想が膨らんで…という始まりでした。
この部分からも、私にとっては苦戦した要因だったと思います。

それと、「異能バトル」というジャンルを甘くみていたからだと思います。
「能力」を主題とした時に、当然「能力者」が登場するのですが、まずはその能力の種類、威力(効果)、条件、相性、そして能力を使いこなす能力者のキャラクター作りなどなど、設定だけでも膨大な量になります。
更にそれらを考慮した「異能バトル」となると、色んな要素が複雑に絡み合ってきて、どうまとめたら良いか非常に悩みました。
兎に角いつも迷ってました。
2時間PCの前で一文字も打てない日もありました…

そこまで難しく考えなくても良いはずなのですが、どうも設定とか考えるのが好きで、その設定を無碍にしたくないという思いもありました。
それが足かせになったと感じています。
更に言えば、その設定を生かしきれなかった感を強く感じています。
特に属性の相性とかです。

それと、能力が付与されたという設定も、後から考えれば難しくしてしまったかなと思いました。
特異体質でいくべきだったと反省しています。
どう考えても使い勝手が良いですもの。
でも、今回作り上げた設定自体は気に入っています。
「もしかして、神なる者が知らないうちに自分に能力をくれるかも」という設定が、中二心を少しでもくすぐってくれれば、私の中ではガッツポーズです。

設定については上記の通り反省点ばかりですが、ストーリーに関しては、かなり気に入っています。
まず、タイトル回収を二度行っています。
一度目はお嬢様故の孤独、二度目は仲間を失っての孤独。
これは最初から狙っていて、上手くいったんじゃないかなって思います。
二度目の孤独へ持っていく為の流れとかも、だいたい予定通りでして、その部分に関しては気に入っているのですが、やはり問題はバトルシーンだったのかと…

アダム側のキャラの話しなんかも考えたのですが、ちょっとくどいかなという訳で却下しました。
バトルシーンに織り交ぜることで回収出来そうだと思いましたが、あまり上手くいきませんでした。

キャラ同士の交流や関係も描写不足だったと感じています。
ただし、この問題は書けば良いってこともないと思いました。
書こうと思えばもっと沢山書けたのですが、それだと日常回が増えすぎてテンポが悪くなると思ったのです。
読みにきてくださった方は、どんな能力バトルが待ち受けているのかという部分は、強く期待していると思ったからです。

それと、これは重大な反省点ですが、心優の恋心について迷いに迷って書けませんでした。
お察しの通り、疾斗の事を気にかけているのですが、それが恋なのかどうかの回答を書けませんでした。
心優は本当に疾斗と付き合う気があるのかと妄想した時に、選択肢から外れる可能性も高いなぁと感じてしまって…
もしも、もしも続きを書くことがあるなら、その時に決着を着けてあげたいと思います。

悪い癖でして、続きはそれなりに妄想しています。
最終決戦前ぐらいまでのざっくりとした流れなんかは考えました。
ただ、風呂敷が大きすぎて、今の私ではまとめきれないかも…

文中に出てきた、心優がラストバトルで参考にした小説というのは、私の処女作「さるとらへび」から頂戴しました。
宣伝目的という訳ではなく、著作権に引っかからないという理由からなので、特に何か意図があってという訳ではありません。
案外面白い試みでしたが、こんな事は今後無いかな。

全体として、自分らしさを出してみたものの、技術力のなさが目立ってしまった感じでした。
文中にもあるように、萌え萌え少女達がイケメン男子とイチャラブする異能バトルにならないよう気を付けました。
少し現実寄りで、少しダークで、もしも自分に能力が付与されたら…という視点を重要視したつもりです。

とは言え、超お嬢様がリーダーとして君臨し政府と交渉…なんて現実味の欠片もないのですが、そういった強烈なリーダーシップを張れる人物がいない限り、きっと野良能力者達の犯罪や対立が絶えない状況なのではないか?という考えからきています。
極力リアル寄りで不可解な設定が無いようにと、終始気を付けたつもりです。

その他に気を付けたことでは「お金で買えないもの」と「死」についてです。
この2つは物語中に度々出てくるキーワードです。
「お金で買えないもの」だけ聞くと、綺麗事のように聞こえるし、昨今の不景気からは「お金があれば…」「お金が全て」という意識は強いと思います。
現に私もそう思う事も多々ありますしね。
だからこそ、小説の中だけでも「お金では買えないもの」の価値について語ってもいいじゃないって思いで書いています。
私がと言うより、心優が出した価値観を意識して書きました。

「死」というものについては、非常にナイーブで現実的にはあまり話題にしたくないですよね。
バトルものに定番の「死ぬ覚悟で闘う」というシチュエーションを考えた時に、そのキャラはどんなストーリーを得てその考えに至るのかという難しい問題に直面します。
疾斗が親友の刀真の自殺に関して、あまり多くを語らずに戦いに復帰しましたが、親友だから、幼馴染だからという簡単な理由ではないはずで、何かの不条理に向かって大きな声で叫ぶ必要があります。
ただ、それを書くには二人の関係は深く書かれておらず、敢えて多くを書きませんでした。
書いたのですが白々しかったので…

仲間の死を乗り越えて…とありますが、これって実際にその場に居たらとんでもなく不幸なことであって、数分で納得出来るようなことじゃないし、心優のように初めての親友、初めての仲間という環境だと、私の出した答えは耐えられなかった、乗り越えられなかったという結論でした。
彼女の何気ない行動で、偶然仲間と最後の会話をすることが出来て、やっと乗り越えるチャンスを得て、そして自らを人ならざる者に変えてまでも進化して乗り越える、そんな回答を見つけて書いたつもりです。
その代償が銀髪であり紅眼なのです。

ここが一番書きたかった部分でもありますし、タイトルもこのシーンから考えられました。
ラストバトルは、進化した心優が一気に迷わず戦う描写になるよう書いたつもりです。
ここまで来たら、それこそ難しいことはいらないって勢いです。

反省点は多々ありますが、色々と迷って迷って書き切った、私だけの異能バトルストーリーだと自己満足しています。
心優は大好きなキャラの一人となりました。
読んでいただいた方は、いかがでしたでしょうか?
本当に感想が気になる作品です。
「いやいや、色々パクってるでしょ」「1話で切った」などなど、辛口な感想もお待ちしております。

それと、ひょんなことから心優のイラストを描いていだきました。
色々と注文をつけさせていただいて恐縮です。
凄く可愛らしい心優が目の前に現れて、何だかくすぐったい感触に襲われています。
この場を借りて、再度お礼申し上げます。
そして、この思いを次回作に込めていきます。

次は既に書き始めたのですが、テーマは家族愛です。
ステージは野球としました。
そして初の男性主人公、しかもおっさんとなります。
スポーツ物なので、勝負や友情といった部分も強く出していきたいです。
「フィールドに舞う桜と共に」でサッカーを舞台に描いた経験を生かせればと思っています。

問題はおっさんを書ききれるか、「パパ」視点がどこまで読み取れるか、野球に関しては知っている人に教えてもらったり調べながらの、何もかも手探り状態なこと。
なんで野球にしたのかはまったくもって不明なのですが、馴染みのあるスポーツということで決めた…はずです。
それ故に、過去に沢山の野球ストーリーがあるのですが、そこに少しでも食い込んでいけたらと思います。

あと気になったのは文字数に関してです。
「孤独な皇帝」は1話5千文字前後を意識して書きましたが、少し文字数が重いかなとも感じました。
次回は1話4千文字で35話前後、合計14万文字程度でまとめてみようかと考えています。
そもそも「孤独な皇帝」も15万文字以内に収めようと思っていたので、書く前は中盤まで書いてあると言ったのですが…ついつい妄想が膨らみ倍以上に増えてしまいました。

「ラストステージ」が12万文字程度なので、このぐらいだとちょっと読んでみようかなと思うのかもなぁと考えまして、取っ付き易い物語にしたと思います。
「さるとらへび」も「孤独な皇帝」も32万文字と、読むとなるとそれなりの時間が必要ですしね。
ちなみに「フィールドに舞う桜と共に」は40万文字です…

野球ものとは別に、ハイファンタジーものも検討しています。
こちらは既にある程度データ化されているのですが、元文章が中学~高校時代でして、読み返してみて恥ずかしいレベルなので、大きく改定する必要があります。
準備が出来次第始めたいと思っていますので、こちらも楽しみにしていただければと思います。

実はもう二本書きたいストーリーがあります。
完結済みの小説の改定もしたい思いもあります。
まだまだ物書きとしては初心者ですが、今後共作品を作り続けたいと思いますので、暇つぶし程度で構いませんのでお付き合いいただけたら幸いです。

では次回は、新作開始頃にお会いしましょう。
年内完結ぐらいの勢いで開始したいと企んでいます。


SEE YOU!

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