「因と縁と果 ―鬼恋硝子の業結び 番外―」完結なので、それぞれの裏話というか後書きを。
・バイト探しは烏まで
梓のバイト先決定についての話。この後はきっと、「ここで働かせてください」と言っ……すみません調子に乗りました。好きなんです、風呂屋で働くあの話。「愛だよ、愛」は名言だと思います。
ちなみに、猫について行く話というのは同じアニメスタジオが映画を制作した某漫画。絵本作家のおじさんのコーナーはリアルネタ。これもカレー企画同様、某ローカル番組の引用です。本屋へ行くと、彼の絵本をよく見かけます。
・窓の向こう
悩める青少年の話。義孝にどれだけ懐いているか語ってもらおうとしたら、こんなことになりました。何故こんなに悲壮感が漂ってしまったのか……。
司は一応料理できますが、大したものは作れません。食べられたらいいので、腕を磨く気もなし。商店街とスーパーのお惣菜＆レトルトは、コンプリート済みだと思います。もういっそ、料理上手な梓に毎日夕食を用意してもらえばいい。
・君のそばに
恋する烏の話。いかに梓に懐いているかを語ってもらいました。しかし、かえってギャグ担当の感が強まった気が……。
彼の精神年齢は特に決めてないですけど……なんか、あんまり高くなさそうですねえ。十代半ばくらいでしょうかね。梓と同年代。
まあとりあえず、あれですね。単純とか、お前が言うな。
・失われえぬもの
人生を満喫しているおにーさんの話。梓が荷物を渡すシーンをメインに書こうとしたら、こんなに膨らんでしまいました。
不気味がられて嫁と離縁して以来、後腐れない人とばかりお付き合いしていたので、自分に噛みついてくる小娘はとても新鮮らしいです。しかも司をからかうのにちょうどいいので、二重の意味でいい玩具。つまりは清々しいろくでなしさんですね。ある意味、登場人物の中で一番幸せな人？
・早くおいで
夫婦の会話と開店直後の話。二人が会話しているシーンがほぼなかったので、書いてみました。
忠憲が死んだ後しばらくは異界にいたけど、人の世に下りてそれぞれお店を経営しながら、各地を放浪。たまにあんな感じで夫婦の会話をしていたと思います。基本的に、嫁が積極的。美女と野獣なおしどり夫婦です。
・どうか、
ありえる未来の一つの話。二人とも、地区を出て別々の大学へ進学している設定。本編になかった甘々成分の補足＋司に愛の手を差し伸べようとした結果、こうなりました。花火の曲を聞いたから花火大会デート！ と思いついただけともいう。これでも一応、少女漫画のノリをやってみようと頑張ったんです。
この後、なんでこんなときに寝るんだ俺！ と司がうなだれているさましか想像できません。もちろん梓はお泊りじゃないです。ちゃんと駅まで送ってもらってさようなら。とても健全なお付き合いの二人です。
……こうして振り返ってみると、他の人（？）たちが前向きだったり全体的に明るい空気なのに、司一人だけが暗い話の気が。「どうか、」も、最後の最後でへまやらかしてますし。義孝の幸せいっぱいぶりを見習おうよ。
まあそれでも、それなりに幸せですけどね彼。卒業後は婿養子になって、しっかり賀茂家を支えることでしょう。「めでたし、めでたし」です。
これで本編・短編集共に「鬼恋硝子の業結び」は無事完結です。読んでくださった皆様、最後までお付き合いくださりありがとうございました。