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カクコン短編の参加予定のエッセイ【4話目】

第4話 線が見えるからって……

「下着の線が見えるからかもしれません」

 私は何も言えなかった。

 汗かきで体臭問題を抱える者、それとは真逆で真夏に冬服を着ている者もいる。同期入社の男子ではあるが、相対する2人。

 猛暑日であっても、常に長袖。額には大粒の汗をかいているので、暑いのは間違いない。何を言っても、「暑くないです」としか返ってこない。そうなれば、水分補給をしっかり摂るようにとしか言えない。

 ただ会社に来る時は、半袖なのだ。それを知ってしまった。正確には、会社の駐車場に来るまでは! 車から降りれば、上着を羽織る。もちろん逆も同じで、長袖は車に乗り込むまで。

 それが何を意味するのか……、最初は私は分からなかった。

 多種多様、全てに配慮が必要。だが私の頭の中は、「線が見えるから」の言葉がリフレインし、砂時計がグルグルと回り続けるだけ。

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