• に登録
  • 現代ドラマ
  • 現代ファンタジー

「深大寺恋物語」のこと

 東京の西の郊外に調布という街があって、そこに深大寺という古刹があります。「深大寺恋物語」というのは、調布市のNPO法人が町興しの一環として起ち上げた、小説の公募事業です。小説の公募で町興し、というところがとてもユニークで、今年で20回目を迎えるのですが、諸事情により今回で終了するということです。

 この公募のもう1つユニークなところは、入賞6作品の作品集が刊行されるところです。作品集といっても「書籍」というより「小冊子」といった体裁ですが、それでも自分の作品が本という形になるのは、とてもうれしい気分だと思います。

 で、その作品集、巻末に最終審査員の先生方の講評が載るのですが、それがまた辛口で……。私も何度か応募するうちに運よく入賞したことがあるのですが、その時の講評はこんなふうでした。

・よくいえばほのぼの、はっきり言えばうすぼんやりした小説。
・この主人公は、べつに弥子さんじゃなくてもほかのどんな女に誘われても同じような感じになると思えます。そのために雨の中、弥子さんがあらわれるラストシーンにいまひとつ心が動かされません。
・薄ぼんやりした男女の関係を、ムードだけで薄ぼんやりと書いているので、読者の心にはほとんど何も残らない。

 うーん、ああ、なるほど……。
 と、もちろん私は、こうした講評を叱咤激励ととらえ、その後、研鑽に励むことになったわけですけれども(笑)。

9件のコメント

  • なかなか辛口な町興しイベントですねw
  • 薄ぼんやりとは、明確でないということでしょうか。
    入選したのに、何故辛口なのでしょうね。謎だ。
  • 入選した作品への講評は、評価したポイントを述べるものだと思いますけれども。そのうえで足りなかった部分への助言があるとか。もしかしたらそのあたりが応募者に煙たがられて、作品が集まらなくなったのかしら? なんて……。

    でもそんな辛口審査員の方々に選ばれたのだから、すごいですね。今まで読ませてもらった@sakamonoさんの作品を思うに、私には納得です。

  • コメント失礼いたします。

    小説の公募で町興しっておもしろいですね。

    お気を悪くさせてしまったら申し訳ないのですが、@sakamonoさんの作品は確かに薄ぼんやりしてます。でも、ぼくはそこが@sakamonoさんが書くもののの魅力だと思うんですけどね。
    はっきりさせないところに情緒があるというか・・・
    勝手なことを言ってすみません。
  • > デリカテッセン38さん
    全作品に対してこんな感じです(笑)。「深大寺周辺を舞台とした小説」、と応募規定にあるので、応募しようという人が深大寺を訪ねてくれれば、町興しにつながるのでは、なんて思っていました。

    > @-yoshimura-さん
    作者の「表現したいもの」が明確でない、分かりにくい、ということなのだと思います。辛口の講評は、この公募のレベルを上げることにつながるのでは、なんて想像しています。

    > 美鶏あおさん
    なるほど。足りなかった部分の助言だけが書かれている、と思うと納得するところがあります(笑)。応募総数は、毎回大体400前後でした。こんなふうにプロの方に講評してもらえる機会なんてないので、とてもありがたく思っています。

    > 烏目浩輔さん
    いえいえ、コメントありがとうございます。本文には書きませんでしたが、こんなふうにも講評されました。「薄ぼんやりさせるなら、その理由を明確にすべきだ(意訳)」。薄ぼんやりしていることに、説得力をもたせられればよい、ということなのだろうと思います。それで、その方向に頑張っているつもりですが……なかなか難しいことです(笑)。
  • 深大寺、おそばが有名ですよね。
    都会の一角にたたずむ鎮守の森みたいな。
    なんどか、足を運んでいます。
    でも、この批評は厳しいですね。僕なら、心がポッキリと折れてしまうかも。
  • > 神崎 小太郎さん
    行かれたことがあるのですね。あの周りだけ雑木林が残っていて、ホントに鎮守の杜という感じです。植物園が隣接しているからかもしれませんが。門前にたくさんの蕎麦屋があって、いい雰囲気ですよね。今までの講評を読んでいたので、私も同じように厳しく講評されるのだろうなぁ、と分かっていて、心の準備ができていました(笑)。
  • @sakamonoさん、拙い俳句に応援と評価をありがとうございます。
    とても励みになりました(^_^)
  • いえいえ、どういたしまして。^^; 俳句のことはよく分からないのですが、入門書を買ってみたりワークショップに参加してみたり、そういうことがありまして。いずれも、俳句の方法論が散文(小説)に活かせないかというヨコシマな動機があったことは否定できません……。だから「平易な言葉に命を宿す」ような文章が書ければ、なんて思っています。コメント、ありがとうございました。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する