『みゃー』
帰宅すると猫が出迎えてくれた。
なんかおかっぱ頭みたいな不思議な模様の猫である。
その猫の隣で貧乏神さんは土下座していた。
顔をあげることができないのか、じっと頭を床につけたままである。
「ごめんなさい、どうしても見捨てられなくて……」
「この子、捨てられてたの?」
その猫はなんか緊張して貧乏神さんの後ろにささっと隠れた。
「ハイ。公園で段ボール箱に入れられていて」
「少なくとも飼い猫じゃないってわけだな。ちなみに土下座なんかしなくていいんだよ?」
「いえ、そういうわけにはいきません。たくさんお金も使いました」
「あ、病院で診てもらったの? どうだった?」
「健康でした。ワクチンも打ってもらいました。それときれいに洗ってもらいました。年齢は分からないそうですけど、まだ若いそうです」
「そっか。それは良かった」
ま。とりあえず革靴を脱いで、ネクタイとって、スーツ脱いで、スエットに着替える。
でも貧乏神さんはまだ土下座したままだ。
「今月の生活費、ほとんど全部使っちゃいました……」
「まぁ仕方ないんじゃない? それにオレ、猫好きだし、このマンションも一応ペット可だしね」
「あの、怒らないんですか?」
ここでようやく貧乏神さんは顔をあげた。
「どうして? 良いことしたのに?」
「これから私たちの食費を削らないといけないんです」
「まだコメもあるし、なんとかなるよ」
「本当に怒ってないんですか? わたし相談もしないできめちゃって」
「時間がなかっただけだろ? それにわかってるはずだよ、オレそんなことで怒ったりしないよ。もしオレが見つけたらきっと同じことしたしさ」
その言葉でようやく貧乏神さんは涙をぬぐってほほ笑んだ。
それから背後に隠れていた猫を膝に抱っこした。
「よかったね、クリリン」
「クリリン? それ猫の名前?」
「はい。目がクリクリしてるからそう呼んだら……」
『みゃー』
クリリンがうれしそうに返事する。
さてこれからニャンコタイムだ!
僕はビールのつまみのおやつカルパスの袋を剥いてさっそくクリリンの誘惑に取りかかった。
クリリンは警戒しつつもゆっくりと近づいてくる。
「あの、今日の晩御飯ですけど……そのご飯しかなくて……」
そんなオレとクリリンの様子を楽しそうにみている貧乏神さん。
「そんな時はふりかけだな。のりたまがあったよね!」
「ハイ!」
と、クリリンがまたにゃーと鳴いて膝に乗ってきた!
くー、かわいい。猫にかまってもらえるのがなんか無性にうれしい!
うん。自宅が猫カフェになったと思えば安いものだ!
「これから、よろしくな、クリリン!」
※ミニコラム~ご飯のお供といえば?~
白米しかないとき何を食べたいか? ボクの場合は『ごはんですよ』かな、あとやっぱり『のりたま』、『なめたけ』なんかもいいですよね。いわゆるご飯泥棒ですね。『梅ごのみ』というのも好きだなぁ。そうそう『味付け海苔』も捨てがたいな。みなさんのご飯泥棒はなんですか?