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長谷川ルイの作法⑤

「夢のあとさき」が無事完結しました。応援していただいた方、読んでいただいた方、本当にありがとうございました。

今回は、この「夢のあとさき」を土台に、私が個人的に感じている雑多な思いを綴っていきたいと思います。

多少のネタバレを含んでおりますので、もしまだ読んでないよ、という方は、ぜひ本編も併せて楽しんでいただければ幸いです。




さて、「夢のあとさき」では、主人公の挫折と再生を描きました。テーマとしてはあまりにありふれていて、新鮮味はほとんどありません。東京から地元に戻るというのも凡庸です。

それでも私がこの話を書いたのは、人生という台本のない物語に、正直なところ嫌気がさしていたからです。

主人公の経験したこと、特に回想シーンに登場する東京での生活は、私の実体験が元になっています。特に混迷する就職活動は、思い出すたびに当時の感情が蘇り、今でも泣きそうになります。もちろん、志望業界や今の会社は小説とは全く異なりますが。

子供の頃からの夢は遠く、学生時代の志さえ叶えることができず、「新しい夢を見つける」と自分を誤魔化し、うじうじと生きてきました。

小説の主人公に嫉妬と絶望を感じる描写は、そのまま、この物語を書き終えた私自身の想いを映しています。

これまでずっと胸の中にしまっていた想いを思いっきり吐き出しても、残念ながら諦念を拭うことはできません。小説を通して、当時の自分を見返してやる、と息巻いているものの、何年経っても状況は変わりません。

何かを成し遂げる、あるいは光明が開けるその瞬間まで、私の慚愧は消えることがないでしょう。

葉月に自分自身を重ねていたつもりが、いつの間にか葉月にさえ追い越される。小説の中で繰り返し彼女が抱いた理想と現実の乖離は、まさに私自身が感じていることと同じです。

葉月には、私自身の未来を託したつもりです。彼女のように、私もいつか、新しい夢に向かって歩むことができるでしょうか。



さて、空想と現実の狭間でもがくのも、そろそろ終わりにしなければいけません。

少し時間が開くかもしれませんが、次の話は、「悠久のオリハルコン」の裏側で起こったもう一つの事件について取り上げたいと思います。

長くなりましたが、引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。

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