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文と匂い

この頃、阿部謹也「中世の星の下で」を読んでいて、決して勇壮でも派手でもない中世欧州の庶民の文化に驚きとおもしろさを感じる日々です。
上に政策あれば下に対策あり、世の動きの多くはなるようになっているもので、わたしたちがスゴいと思う物事や事物についてのプロパガンダ的側面を慎重に捉える必要があると思っています。
あれね、実は裏じゃこうなってるんだよ。表向きはああ言ってるけど実はこういうことなんだよ。
そんな裏話は常に目からウロコが落ちるような、好奇心を刺激される楽しいお話です。

今思えばわけのわからないものであっても、だいたいは今考えてもごもっともな理由がそこにあったのだということを感じます。


ともあれ、そうやって時間と足場の離れた世界を想う時、
知識のないわたしの頭からは、本当はそこにあるはずのいくつもの匂いが抜け落ちているはずではなかろうかと思うことがあります。
例えば主人公の好きな匂い、そいつの生まれ育った町の匂い、その町の市場に立ち込める情熱的な匂い……中世ヨーロッパ「風」の舞台に、果たしてどんな匂いを想像するのか。

実際、こんなのはわたしだけかも知れないですが、いくつもの作品を拝読していると、文字や表現ではないところから色や匂い、リズムを感じることがあります。
文体や内容の硬軟、ジャンルもあまり関係がない気もします。

それを醸せるのが、知性なのか感性なのか想像力なのか技術なのかはわかりませんが、自分もいつかは書けるようになれたらなと思います。
とりとめのない内容ですが、そんなことをぼんやり考える毎日です。

文長

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