• SF
  • 異世界ファンタジー

『浮かぶ水平線 ―The Floating Horizon―』の連載を開始しました

文長です。
気づけば夏も終盤に差し掛かり、毎年ながら寂しさを感じています。

表題の通り、『浮かぶ水平線 ―The Floating Horizon―』という作品を新規投稿しました。
海という存在がどのように見えるかを問うような異世界ファンタジーになります。
電力分野などで使われる『逆潮流』という用語(の字面)にアイディアのきっかけを得たお話です。
静かで、少し不思議な作品になればと思っています。

この作品を書くにあたって、人が海をどう捉えてきたかというテーマをほんの少し調べてもみたのですが、非常に興味深いものでした。
とある文献によると、海って何だか懐かしいよね、という親近感や望郷的感覚は、太平洋沿岸圏などでは比較的共有されたものであるらしいのですが、
欧州圏ではつい近代になるまでは海(特に大西洋)はただの場所であり通過点でしかなく、わたしみたいな人間が海に対して抱く感情はむしろ陸に対して抱いていたと言うのです。
しかし確かに、聖書における天地創造の第一歩は「天と地」であって海は後から生まれたという価値観があったのでしょうし、
水平線の向こうに何があるかなんて中世以前は確かめる術もなかったのですから、
岸が見えないほどの沖合いに出ることは純粋な恐怖であったことは想像に難くありません。
一方で、近年では母なる海として、水辺や海辺の空間を再び見つめ直す、再発見するという機運が高まっている側面もあるのだと思います。
そういう視点もあるんだ、と学びになったのと同時に、海という雄大な存在の捉えどころに改めて感嘆した体験でした。


病禍の勢いはとどまる様子がなく、海水浴や旅行にも行けない夏となってしまいましたが、
それでも、海や水の流れを眺めるという行為が好きなんですよね。何度も癒されて救われてきたと思います。
今作も異世界ファンタジーという体裁ではありますが、そうした原風景を想像し、想起頂けるように書いていければと思っています。
完結まで少し時間はかかるかもしれませんが、ご笑覧頂けましたら大変嬉しいです。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する