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妖怪画集 第二十九頁【黒塚】

『黒塚』

・出現地域:福島

 安達ケ原に棲み、人を喰らう鬼婆。
「黒塚」とは本来地名であったが、現在では鬼婆自身の事も指す様になった。
「奥州安達ヶ原黒塚縁起」の伝承曰く、ある日宿を求めた旅の者が、老婆の住んでいた岩屋に招かれる。老婆は薪を取りに行くと言って席を外したが、その際に奥の部屋を覗いてはならないと言う。好奇心から覗いてみるとそこには無数の白骨遺体が積み上げられていて、人を喰らうという鬼婆の話を思い出す。恐ろしくなった旅人は逃げ出すが、その後恐ろしい姿となった鬼婆にものすごい速度で追い掛けられる。目前に迫る鬼婆に絶体絶命となった旅人は荷物から如意輪観世音菩薩を取り出し、必死に経を唱えた。すると菩薩像が空へと舞い上がり、光明放つ矢を放って鬼婆を仕留めた。その後鬼婆を葬った塚があるその地は「黒塚」と呼ばれる様になった。
 結末に関しては様々なパターンがあるが、概ね結末は同じ様なものである。察しの通り、秋田県の民話にある「三枚の御札」の元となった伝承である。

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