本文をはじめる前に、黙祷を。
震災当時、小学生のわたしは岡山県の片田舎に家族四人で住んでいました。母、姉、父、わたしの順で眠っており、そのときがきました。
――どがっ。
寝ていた父が腕を左右に広げ、わたしたちきょうだいの顔面にダブルラリアット仕掛けたのです。
痛みより驚きが勝りました。は? なんか父さんにどつかれてない?
声も出せずにいると、母が「地震!」と慌ただしく布団から起き出して、父は喃語のようなことをいいながら、頑として両隣に眠るわたしと姉の顔面を腕で守りました。
結局、岡山の被害は大したものではなく、父にダブルラリアットのことを訊いても「うーん、そんなことしたかなあ」といった感じでした。
今でこそよそよそしくわたしを避ける父ですが、あの時は本当に最高の父でした。
親がいるだけありがたい。だれも犠牲にならなかっただけでラッキー。
ありがとう、父さん。
死はだれにでも、いつでも、いくらでもやってくる。妻の死から2ヶ月半経った。いまだにだれひとり納得もいかなければ前を向くこともできない。
こんなことをこんなとこで書いてどうすんの、って話だけどね。妻がいないことに慣れていくのが怖い。非常に怖い。
震災であれ自死であれ、家族を亡くしたらぜんぶがストップする。それで書くことにした。
さまざまな情景、心理、ものの考え方や感じ方、趣味嗜好に喋り方、容姿も、クセも、身長も体重も。それらをすこし、もしくは多く、作品に注ぎ込んだらどうなるだろう。
わからない。
まだ、2ヶ月半だもの。
さて、と。
書庫すなわちEドライブの奥の奥から、短編をいくつかズンドコズンドコ加えています。
どれも大体5000字とかそんな感じの字数なので、気が向いた時も向かない時もすんなり読めるライト級の仕上がりとなっています。
きょうはこれくらいで。
また次にお会いした時、お互い笑顔でいられますように。
あ、あとこの花の名前わかる方、います?
調べてもどうにもわからなくて……だれか教えてちょ