つい今しがた、ある俳優のかたの講演を聴いてきました。
新しい大講堂のこけら落としとして、九段下のとある学園が卒業生として彼をお招きしたのです。
みなさんご存知の、カマキリのかぶり物をする名俳優です。
爆笑をいくつも誘う楽しいお話のなか、感動するおことばがいくつもありました。
いちばん心に響いたのは。
〜人生でいくつもある選択の時に、わたしはだいたい困難な方の道を選んでいます〜
そう。
登っているときに苦しいからこそ人生じゃないのか。
楽なのは人生を転げ落ちている時。
つい昨日、はてな匿名ダイアリーに
「何がしたいのか分からないまま人生が終わった」
という文章が載って注目を浴びているという記事を見ました。
それと正反対だなと思いました。
もちろん、逃げなきゃいけない時もあります。
休まなきゃいけない時もあります。
傷を癒す時も必要です。
そこいくと、カマキリ先生はエネルギーのあるひとなんだな、と思いました。
凡人にはムリくらいの根性にも思えます。
けれど、彼の出発点には、ある気づきがあったといいます。
「自分は他の人と比べて優れている、勝っていると思っていたけれど、ある時、じつはいちばん下なんじゃないかと気づいた」
凡人以下なんだと思うようになったとのことです。
歌舞伎役者の血筋だとか、母親が女優だとかそういうんではなく。
情に薄い、冷たい、だらしない、部屋片付けないなどなど、人間としていちばん下なんじゃないかと。
それが仕事をもらって生活していけるのは、感謝しかないと。
それからは、うまくいかなかった仕事が、徐々に良くなっていったそうです。
学園の後輩少年たちは、とてもいいお話を聴けました。