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眠い話

いいニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?
一同:いいニュース
うん、今日は良いペースで執筆が進められた。時間通りにきっちりと。
クライン:悪いニュースは?
それがなあー、眠くなるんだよ。条件反射的に。草稿の時点で眠い話になっている。これ下手するとボツじゃない?
バルダーナ:えー!? そんなあ!
まあ、執筆時間を守らないで、眠たい時刻に書いてたのが悪いのかもしれないし、逆にCD聴いて悲しいムードの中で書いたせいかもしれないし、一概に何が原因とは言えないけれど。
バルダーナ:やりなおせ! はやく!!
ええ? 今日の作業は終わりだよ! 同じことをくり返す気?
バルダーナ:はやく!!
だって、草稿眺めてると眠くなるから、手を入れるのにも時間かかるし。なんだあれ、捨てたくなる。
バルダーナ:らめえええええ!!
とにかく、今日はもうだめ。脳に栄養足りてないから。
リザ:補充しろ
栄養指導受けたら、ココア・オレ一日に三杯は飲みすぎだって言われた。
リザ:いいかげんにしろ! 脳みそ使う作業に糖分は必須だ。
たしかに。でもなんでも摂りすぎ、やりすぎはよくないよ。休もうよ。
リザ:きいいいい!
クライン:なんだなんだ!?
リザ:あんな暗いものを平然と書く癖に、ヒロインのわたくしが不幸な目にあってるのに、平気でアップする癖に! バルダーナだけ!! わたくしに情はわかないというの?
え? やだなあ。リザ好きだよ。クラインとバルダーナの次に。
リザ:どっちの次!?
クラインかな。
リザ:本当に!?
あたりまえだよ。
リザ:バルダーナは?
友達だったらいいなと思ってるけど?
リザ:わたくしは!?
幻想上の生き物だから神秘的なところが良いなあと思ってるよ。
リザ:ちっとも神秘的じゃないじゃない! 泥の中で死なされたんだよ?
哀しいね。
リザ:ちっともフォローになってない!
バルダーナ、頼む。
バルダーナ:(しらーっと)あのねえ。順番通りに書いた?
なんの順番?
バルダーナ:えっと……シナリオの。
ああ! 適当にちらちらと書いたのを組み合わせたのが今の草稿だよ!
バルダーナ:おまえ!!!
……まあまあ、ゲンコの書き方って人それぞれだからさ? 演繹的にも帰納的にも書けるもんなんだよ。
バルダーナ:おまえの書き方おかしい!!
なにを根拠に……
バルダーナ:だってさ! おかしいじゃねえか!! 要はオレが暗殺者になる話だったろう!?
ああ、それ却下した。しかたないじゃん? 主人公が暗殺者って、グラスハートじゃあるまいし。ファンタジーでガチでやるってほんと、許されない。
バルダーナ:おまえええええ!!!
ははん(笑)妹を死なせないように作ったら、牛が死んじゃったかな。
リザ:妹は助かったんだな?
え、うん。
リザ:じゃあそれでいけ。わたくしよりマシだ。バルダーナ、妹の名は?
バルダーナ:テレーゼ。
ベートーベンの『エリーゼのために』は実は『テレーゼのために』だったという話だ。それをもとにしたの。
リザ:な? マシだろ?
バルダーナ:テレーゼのために……ほんとだ。マシか……
泣きなくなるような温情だろう?
バルダーナ:うん……
あれ? なんだ、やけに素直。
リザ:焼け石に水だな。
なに? また落ち込ませちゃった??
リザ:うん……
なんだよ、バルダーナはメンタル、か弱いな! わたくしは英雄としてキャラ作ったんだぜ?
バルダーナ:英雄……か。かもな。ヒーローは孤独だぜ!(ダーッと駆けていく)
(見送って)困ったなほんと。
リザ:ばか! 止めろ!!
クライン:バルダーナ! 元気出せー!!
リザ・クライン:おーい、おーい!!!
寝よ……
リザ・クライン:おい!!!
疲れが取れたら、対処する。
クライン・リザ:おい――!!?
バルダーナ:ぐすん。

あ、ちなみにバルダーナの死までは書かないから。
一同:ほーっ!!!



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