今日も書く予定だったんですけどバタバタしていて無理というかやっぱり何かがおかしいままな気がしています。
ので。
映画が先のノベライズ、坂元裕二[脚本]是枝裕和[監督]佐野晶[著]『怪物』を読みました。面白かったーのでネタバレ……まあ、注意、か?
私は映画のノベライズってわりかし読まない方なんですが、今回はなんとなく手を出してみました。マジでなんとなくなので深い意味はないです。
知っての通りなのかどうなのか分かりませんが、物語の舞台は田舎……信州らしいですけどまあちょい田舎くらいの感じの町の小学校です。
最初の主人公シングルマザーさんの息子の様子がおかしくイジメを疑い学校に突撃するも要領を得ずにこいつらなんやねんとブチ切れ、主人公交代です。
次の主人公は第一部で詰められていた先生。多少は変人ながらもやることはやっているのに受け持ち生徒の一人=母子家庭の子が問題を起こし職を追われる過程が描かれます。
でもって最後は一連の事件の当事者的な男の子二人。いったいどういう話だったのかのあらましが語られていく……当たり前ですが映画まんまですね。
文体は……ノベライズってあんまり読まないからわからないんですが、こういうものなんでしょうか? 基本的には映像を簡潔に文字起こしした感じでして、そこに細やかな心情が追加されています。非常に読みやすく、だいたい二時間前後で読み終わるので、ほぼ映画と同じですね。これって何気に凄い技術なのでは。
で、お気に入りポインツ1!
まあやっぱり、心理描写ですよね。タイトルの怪物は誰なのか、みたいな話がよりわかりやすくなっております。たぶん。人による。その通り。あるいは説明されすぎてがっくりって方もおられるかもしれません。このへんは好みの問題ですよね。
お気に入りポインツ2!
ノベライズしたこと自体。なんか妙な表現ですが、これ主題とやりたいことと言葉遊び的な演出とか暗喩的な表現とかその他モロモロが映画より文章向きだよなあと感じたりしました。たまに映像化不可能! と言われた映画があるように、映画には映画で文章化不可能! なのもあるんです。たとえば、画で勝負するタイプのホラーとか。
つまりネタというか厳密には内容について映像向きとか文章向きとか音向きとか色々あると思うんですが、本作の内容はわりかし文章向きだよなあと思った次第です。
映像にすると役者の雰囲気とか声とかそういった色々に引っ張られてピンとこないみたいなのがあるんです。私は。エクスキュージング倒置法。
たとえば映画タクシートライバーを単純に小説にするとなんかヤバいダメなおっちゃんの話になりそうなんですけど、若かりし頃のヤバげなデニーロが画として出てくると独特の雰囲気とか意味ありげな感じになるんです。逆も然り。だから文章化したの偉い! みたいな。
続いて気になるポインツ!
キーワードかのように繰り返し出てくる『豚の脳みそと入れ替わってる』という侮蔑的な意味合いの表現があるんですが、これがずっとピンと来ませんでした。だって豚ってそこらの犬より頭がいいし。
いえ、もちろん分かっています。分かっているんですが、なんかの暗喩とかなんかの示唆かと色々と考えたんですけど特に解説とかネタバラシもなく。他がいい具合につながってるのにこれだけ浮いてる気がして私は私の教養不足を疑っております。なんで豚なんだ。日本人で豚を引き合いにだして罵倒することってあんまなくない? 分からないけど。
気になるポインツ2!
この手の話あるあるとして、そのディスコミュニケーションちょっとキツない? 問題があるんですが、本作もやっぱりちょっと苦しく感じます。もうちょっとこう、舞台とか学校とかその他バックボーンを用意しておいて、必然性みたいなのを補強してあったほうが良かったかもですね。
まとめ……サクっと読めるやや重、苦め後味ヒューマンドラマですね。私としては映像よりも文章のほうが飲み込みやすい感じがしました。これは完全に好みの問題なので人によるとおもいます。
ただこれエンタメとして消化すればいいのか文学として消化すればいいのか、あるいは他の何かか、いまいち座りが悪い気がしないでもないです。まあこれも好みの問題ですけど。
さあ困りました。
実は毎回五冊くらい持ってくるんですが、一冊を除いてすべて二時間かからずに読み終えられる軽さだったのです! また補充せねばならぬのか……この暑さのなか……。
明日のラッキー思いつき嘘知識
『うなり笛こと虫笛の語源は『むし』すなわち蝮のことで、捕まえた蝮の尻尾を持って振り回すと鳴き声を発することからきている』