西洋でスターリン主義とファシズムが倒錯として現出する言説と日本語のエクリチュールでスターリン主義とファシズムが構造化される機制は同じものでないということが、倒錯という語の曖昧な用法を精神分析の猥褻な超自我に帰属させるポストモダンの物語なのではないかということ。フロイトがドストエフスキーの小説から父殺しを読み込んでロシアのような「未開民族」の伝統が残存している土地では分析経験は十分でないというのとラカンが日本語の使用に対してシニフィアンと意味作用の連鎖が文字通りに実践されているせいで見掛けに対する大文字の他者の言説がスノビズム的に素通りしてしまうことになっているという事態を指摘するのは日本が民主主義に対して「未成熟」だと言表するのと同じ対象を巡る現象なのではないだろうか。だから去勢を巡る言表が隠喩的な対象aの構造に対する幻想と見かけの享楽を区別できないジジェクのイデオロギーは、あまりにもうまくかみ合い過ぎてカント的な主体を弁証法の真理の担い手として生成的な部分欲動を快楽の抵抗行為にするような西洋的ヘゲモニーに回収されることで「全体主義」への批判を構成していると言えないだろうか。丸山や吉本が言っていることを逆構成して推論する限り、彼らが日本的ファシズムをスターリン主義の亜種であり、ナチズムを民主主義にとって不断の脅威となる様な「力への意志」の指導者への追従と同一視している改革幻想と断定しているのは明らかであるように思える。一方で細胞的な変種の擬装享楽と機械論的な編集実践は歴史的な神話主義の再演から混同されており、それが放射能汚染を常に共産主義体制の抑圧的な外傷として戦前の司法の拷問を「生き残りの世代の記憶」として大学的防衛にして、その市民生活の浮動性を子供の娯楽の逸脱から教育するような支配編成が「数学」と同一視されている。それは愛の自己実現過程を体制の裏切りへの忠誠として表明するような両義的解釈の虜囚として無力な犠牲者の役割を装いたがっている。結局それが若さの純粋さを裏切りを知らない享楽の崩壊として投影して、理論的な倫理への忠誠を父性的な子供への欲望だと女性を侵犯するような画像生成の自動化に金融体制のアナロジーを発見して、魔法を信じ続ける子供の態度を身に着けた世代の自己否認を量子的な変身に対して脱自的に継続するのではないだろうか。