中一のとき、クラスの女子からチョコを貰った。
「勘違いしないでよ。あんたのタメに作ったんじゃなくて、先輩の余りだから」
そんなツンデレっぽいセリフとともに差し出されたのは、いかにも手作りって感じの、マットでイビツな一口チョコ。
だが所詮、手作りチョコなんて、製菓用のチョコを刻んで溶かして、固め直しただけのモンだろ。
見た目はアレでも、味的には何も問題ないはず。
何の躊躇いもなく口に入れたら、ほーらやっぱり、甘くて美味しいチョコの味が……しねぇ。
いや、しなくはないが、それを台無しにするような、妙な味が混じってる。
それと、むせっかえりそうなほど強烈な、香水の匂いがっ。
「まっつん(仮名)、コレ、何入れたん?」
思いきって尋ねると、彼女は少しはにかんだようにいった。
「愛用のコロン」
うおぉーっ!!
コレはアレっすか? 両想いになるオマジナイ的な。
「でも、ちょっと入れすぎたかなぁって」
「入れすぎじゃ、ボケぇ。別の意味でイチコロんなるわっ」
そう突っ込んだのは、いうまでもないことです。
僕が食べたのの、何倍もあるだろうそれを貰った先輩が、その後どうなったかは知りません。
卒業式にボタン貰ったとか騒いでたから、案外、効き目があったのかも……。
のちに、このチョコのオマジナイには、血液など、人体の一部を入れるバージョンもあることを知り、彼女がそこまで猟奇的でなかったことに、深く安堵いたしました。
男性諸君、アヤシイ手作りチョコには、くれぐれもお気を付け下さい。
あ、バレンタインネタの短編を書いたので、よかったら読んでみて下さい。よろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885013434