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『鞍作鳥の飛鳥日記』への感想


この度、「大正時代までを舞台orモチーフにした作品、集まれ!」という企画に参加させていただきました。
その参加条件として、この「鞍作鳥の飛鳥日記」の第一章までの見所を綴らせていただきます。

まず、第一章までの登場人物の中で一番好きなのは主人公の鞍作鳥(作中では止利表記)です。厩戸皇子の側近たちを描くにあたって、敢えて皇族や豪族という立場ではない彼を主人公に選びましたが、長く物語を書けば書くほどその選択は正しかったなという気持ちが大きくなってきています。第一章では、まだ複雑な情勢を知らない明るく純粋な様子が彼の見所です。

そして第一章までの部分で一番好きな台詞は、調子麻呂が主人の厩戸について語った時の、「とても優しくて、美しいお方です。彼は我々舎人の誇りですから」という言葉です。厩戸を一番よく知っている舎人だからこその言葉だと思います。調子麻呂の過去などまだ公開できない部分は多いですが、第一章の中だけでも彼と厩戸の絆を表現出来るよう頑張りました。

以上が第一章の見所です。長くなってしまい申し訳ございません。私としては第四章以降の仄暗い展開が好きなのですが、その前段階の対比部分として、第一章の明るく柔らかな日常風景を楽しんでいただければ幸いです。

この度は素敵な企画を立てて下さりありがとうございました。日本史好きとして感謝申し上げます。

2件のコメント

  • 開放的で明るい色彩、緊迫感のない穏やかな語り口
    とても女性らしい文面でした

    会話のみを拾ったり、地の文に使われる単語を見れば、現代劇に違いないのですが、
    そのフラットさが、馴染みない時代への心理的障壁を取り払ってくれています

    ただ、地の文がその場にいるキャラクターのモーションを逐一追う形であり、
    心情描写も台詞頼みになっているため、
    大変丁寧にト書きが書かれた台本を読んでいるように感じさせてしまいます

    難解ながら良い設定/物語構成が、諸情報の海に沈んでいて、非常に惜しい

    上手く説明しづらいのですが、
    漫画でいう効果線や擬音が描かれるモーション=もっとも印象的にしたい動き
    を抜き出すようにしてみてください

    今は大ゴマでの「ドキッ──」が足りず、ずっと引きコマです

    併せて、「そして」と指示語(それ/その)を削ることで、
    柔らかな文体ながら、鮮明な描写の活きた文章になることかと思います
    案外、文章は「そして」がなくても成立します

    さてさて、あの、小説の感想とは外れてしまうのですが、
    あめさんの「推し仏(おしぶつ)」はどなたですか……⁉︎

    私、中宮寺の弥勒さんが第一の推し仏でして、
    柔和でまろやかな輪郭や黒光りするみ肌が、もうなんとも抑えがたく触れたいと思わせる仏さんなんです
    現地へ赴き、眼前にお迎えしたときの安らぎと発心は忘れられません

    ですので、飛鳥文化では南朝派なのですが、
    止利派仏では、法隆寺の三尊像が好きですね!
    ご尊顔には、わずかに右へと比重の傾きがあるように見えます
    美は左右対称が旨とされますが、かのアンバランスさはむしろ一層の親愛を湧かせてくれます

    まさか、止利を主人公に持ってくるとは
    着眼点と歴史愛、当然ながら史料調査の労力、いずれも敬服です
    ありがとうございました
  • 素晴らしい感想ありがとうございます!
    確かに私は文体がかなり柔らかく、何か転機のような部分が訪れるまで入りが淡々と長くなってしまう所が悩みだったので、ご指摘とても的確で有難いです。小鹿さんのアドバイスを参考にこれからも頑張りたいと思います。

    そして推し仏ですが、私も弥勒さまが一番好きです。仏師としては止利が好きなのですが、実は仏様の造形は南朝派が好きでして······。こちらを包み込むかのようなあの柔い表情に惹かれてしまいます。

    最後にはなりますが、改めて素敵な企画に参加させていただきありがとうございました!
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