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そりゃそうだよねぇ

久しぶりに休みになった土曜日。
明日が夜勤なので夜ふかしも出来る。
なので、競馬のサウジカップデーの中継を見ながらピザでもつまもうかと思ったんです。
馬券の買えない海外レースでも、日本の馬が出るとなれば応援しないわけにも行きませんし。

そこで車を出して近所のピザ屋さんへ向かうことに。
学生時代ピザ屋の宅配のバイトをしていたことがあって、近場ならテイクアウトした方が得なのも知っていましたから。
外はわたしのいる街ではこの時期珍しい雨降り。雷もどこか遠くで鳴ってます。

手早くオーダーを告げて支払いも済ませたところで店員さんが一言。
「出来上がりは30分くらい後になるんですけど……」
そこでわたし、ハッと思い出しました。
悪天候の時は宅配のオーダーが増えるって事を。
そりゃそうだよねぇ……。

雪国ですから、雪が降る分にはあまり気にしないのがこっちの人たち。
ですが、2月の雨降りじゃ外に出たがらないのも致し方ありません。
きっとピザ屋さんのバックヤードでは大わらわでピザをこしらえてるところでしょう。
配達の車が一台もいない事にも気づくべきでした。今頃あちこち走り回って配達してるはずです。

そこでわたし、自分がバイトしてた時のことを思い出しました。

わたしがバイトしてたのは北関東のある街のピザ屋さん。
滅多に降らない雪がその街を真っ白に染めた日のことでした。
朝からひっきりなしに鳴る電話に追われ、わたしたちバイトは三輪スクーターの荷台に3軒分や4軒分のピザを詰めて店を出ました。
1軒で帰ってくると効率が良くないので、忙しくなるとよくやる事ではありましたが、その日は朝からずっと4軒分ずつという状態で。
そうこうしているうちに、バイト仲間が寒くてスクーターに乗ってられない、雪で滑って怖いと言い出します。
三輪スクーターですから滑ってもたかが知れてるのですが、雪に不慣れな彼らにはかなりの恐怖に感じられたのかもしれません。
そこで、雪国育ちのバイト2人と、同じく雪国育ちの店長の3人で全部のオーダーを配るという事に。
残りのバイトは電話番と調理の手伝い。
その日は朝から半日のシフトだったわたしも、気づけば閉店時間までずっとスクーターに乗りっぱなし。
思えば相当な無茶をしたものですが、若かったのでなんとかなったんでしょう。
今だったら多分出来ないだろうなあ……。

そんな事を思い出してしまったものですから、「いいですよ。後で取りに来ます」と言って一度家に戻りました。
そして、40分後に着くように取りに行った事は言うまでもなく、少しでも余裕を見ておきたかったから。
そうしてテイクアウトしたピザは、とてもおいしかったです。

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