使いどころさんを見失ったので供養のためにおいておきます。
なにかツッコミどころとか気づいたらお願いします!!!
「魔法科学」とはつまり、魔法を「科学的手法」で検証すること。
とある魔法を例にして説明しよう。
ここに幸運のお守り、「ウサギの足」がある。
このウサギの足は所有者に幸運をもたらすとして、中世から珍重されているものだ。
ギャンブラーなんかが特に好む。
そして実験として以下のような事を行う。
ウサギの足を持つ者と、持たない者。
両者が同じ条件、同じ6面ダイスを転がした時、差はあるのか?
ここで統計学的手法、つまり「数学」という「形式科学」を使う。
まず両者にダイスを転がしてもらうが、その時のダイスの出目は、全ての出目が平均的に出る。
そしてここでルールを設定する。つまり両者に対決してもらうのだ。
出目6を最初に10回出した者が勝ちで、この研究に使った費用の余りをもらえる。そういった賭けを何組もの被験者に提唱するのだ。
すると不思議なことに、「ウサギの足」をもってダイスを転がした者は、6の出目が出る回数が明らかに上昇する。
通常、任意の出目が出る確率は16%だ。
しかし賭けを提唱すると、先ほどより30%加算された46%台にまでなるのだ。
不思議なことにルールが異なると出目も変わる。
出目1が勝利と設定されると、そちらの確立が今度は上がるのだ。
そして、さらに驚くべきことが発見されている。
1920年、フランスのエマール大学のジョン・フレデリックは以下のような仕組みを用いて先ほどの実験を行った。
まず単純な鉄製のバネの付いた機械でもってダイスを挟み込み、実験者がそのボタンを押すと、バネが開いて、ダイスがボウルのなかに落ちるようになっている。
これはダイスを振るう人間が、何らかのテクニックでもってイカサマができないようにする仕組みである。
フレデリックはこの機械を用いて先ほどの「ウサギの足」の実験を行った。
すると今度は50%加算された66%台にまで上昇したのだ。
この実験の結果を見て、まずフレデリックはサイコロ、もしくはウサギの足の異常を疑った。しかしウサギの足を市場にある新品と取り換えても変化は無かった。
だが実験者を別の者に取り替えると大きく確立が変化した。
先の実験で得られる30%の加算に結果が収束していったのだ。
ここでフレデリックは実験者、先ほど50%の加算を叩き出した実験者にこう聞いてみた。「君はもしかして借金をしているのか?」そして……彼は頷いた。
フレデリックの実験により、「ウサギの足」には欲望、何らかの意志の強さが関係して幸運をもたらすという結論に至った。
そして今も魔法科学者たちは、より効果的な「ウサギの足」を作り出すために、実験を行っているのだ。
「ウサギの足」を持った者同士ではどちらが勝つのか?
養殖のウサギと野生のウサギ、どちらを素材にすると「ウサギの足」はより効果的になるのか?産地でかわるのか?
古い個体、新しい個体、前の持ち主、製作の年代と職人の技術は関係しないのか?
そう、こうやって疑問を発見し、「魔法」の作用とその本質を追い求めるのが、「魔法科学」の意義なのだ。