読む人のいない物語ですが、今回は特に紹介文の段階でネガティブな事を書いているもので、前二作よりさらに少ないです。そもそも流行りに乗っているわけでもなく、万人受けする物語でもないし、性質上人にも勧めづらい。せめて太字にしたりフォント変えたりしてもう少し読み易くなればとも思いますが、……それでも自分の全力を込めた作品なのも確か。
リディアはきっと私です。
ハッピーエンドばかりなわけもないと分かっていながら、それでもハッピーエンドがいいと駄々をこねる私であり、
どこか悪意を感じる描写や表現を見かけた時、(その作者も含めて)人の善意を信じたいと願っている私です。
本を読む時、自身を物語世界の、脇役の位置に置いて読んだりします。作中、リディアが劇団員として振られた役がそう。
ある時は主人公の愚痴を聞いて相槌を打つ知人であり、ある時は冒険を終えて戻って来た主人公の報告を聞く兵士であり、ある時は主人公を遠くから見守ることしかできなかった無力な子供でした。
この物語を書き終わった後は、本棚に並べられた本たちが、連綿と歴史を重ねてきた人類の祈りの束のように見える事があります。多くの人が幸せや平穏、生や再起を願ってきたのだろうと。それはこの物語内での“祈り”の設定による部分も大きいですが、人とは違うものが見えているアルビナの見ている世界に近いのかなと、ふと思ったりもします。本棚の前に立ってそれを思えば、どうしようもない時、また人を好きになれるかもしれません。彼女のように。