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『猫と僕と不機嫌な彼女』

 私はよくいろんな話を形が分からなくなるまで沢山混ぜるような感じで物語を作ります。これもその一つで、しかし完成して見ると思いの外『ルビーの瞳の黒猫』のあらすじが残ってしまった形です。
 実際のところ、物語の主題は恋愛における男女の考え方の違いや、猫に関するものの俗信からの発想だし、物語の展開も『人魚姫』だったり、あるいは昔のアニメ(多分魔法少女モノ)の定番のオマージュだったりします。魔法で動物の姿になっているうち元に戻れなくなるけれど、誰か(大抵片思いの男性)に正体を気付かれれば元に戻れる、という展開。あるいは『鶴の恩返し』とか。人間から愛情を受けている間は人間でいられるけれど、愛情が冷めた(正体を知られた)途端に人間の姿を保てなくなり、主人公の前から去って行く、その後ろ姿だけを見た……という物語。『ルビーの瞳の黒猫』もその定番の話の一つでしょう。
 言わなきゃ分からないくらいには違う物語になっている気はしますが、私の目から見るとやはり同じカテゴリーの物語であり、また件の歌を知らなければ書いてなかったのも多分間違いありません。そんなわけで、歌の紹介を載せた次第です。

 『ルビーの瞳の黒猫』についてもう少し。
 かなり昔の曲で今聞く手段は大分少ないかもしれません。まだ歌声が落ち着く前の笠原弘子さんの声が、今聞くとかえって新鮮。歌内での黒猫は激情家で、呪いで猫の姿になった元人間。歌では淫靡な雰囲気も。

「誰かいるの?」と 彼女の声
「猫だよ」と あなたの声

 ……『人魚姫』にも劣らない、大分抉って来る台詞ですねこれw 私は携帯電話越しの会話にしましたけれど、歌内では恐らく……/////

 作詞作曲の松宮恭子さんについても。
 切なく異国情緒あふれるメロディ、落ち着いた後の笠原弘子さんの歌声、そして物語的な作詞が非情にマッチしており、私にはドストライクでした。当時の友人に指摘されてから結構探したりもしました。それも大分時代が過ぎてからなのと、意外とベストアルバムには入っていないせいで、なかなかに苦戦……「アルバム単位で出来のいい」という事が多い印象。
 もし聞く機会がありましたら、ぜひ意識して聞いてみて下さい。

1件のコメント

  • 『ルビーの瞳の黒猫』の歌詞を見てみたんですが、もし音源が見つかれば、曲を聴きながら小説を読むの、きっとすごく雰囲気に合いそうですよね〜でも、残念ながら、いろいろなサイトで探しても見つかりませんでした。Apple Musicにも2007年のアルバムはなくて、でももっと前のはありました。今は1994年の「さよならがくれたのは」を聴いています。
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