本日(1月29日)、武見敬三厚生労働大臣に以下の様なメールをお送り致しました。
「大至急のお願いがあり、急ぎ筆を執らせていただきました。
私は徳洲会グループ榛原総合病院の副院長でございますが、1月27~28日幕張メッセで全国から徳洲会グループ病院(75病院)の幹部が集う経営セミナーが開催されました。
冒頭、東上震一理事長のメッセージ『直言』が読み上げられました。
内科医である私は、その一節に衝撃を覚えました。
以下に抜粋させていただきます。
『大動脈弁狭窄(大動脈弁が硬くなって開き難くなる病態)という心臓弁膜症がありますが、この治療法は、従来から心臓外科医が胸を切り開いて、硬くなってしまった弁を切除し、人工弁に付け替える大動脈弁置換術という開心術が一般的でした<註:この手術は、薬剤で心臓を止めた状態で行われます>。
しかし、最近では、カテーテル操作で、新しいステント付き人工弁を留置するだけで終わる経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI:タビ)という治療法が開発され、急速に広まっています。
患者さんにとっては、心臓を止めることも無く、胸を切り開くことも無く、<註:細い管(カテーテル)を太ももの血管から入れて心臓まで進めて行くだけなので、太ももを約1㎝切るだけです>従来の弁置換術と同等の治療が完結する訳ですから、信じられない様な医学の進歩と言えます。
ただ、この治療法の場合、病院が医療費として請求するのは、1件あたり約500万円、その総額は従来の大動脈弁置換術と大きな差はありませんが、TAVIの場合、デバイス(新しいステント付き人工弁)料が約450万円と非常に高額で、保険請求の実に90%程度が材料費ということになります(従来の人工弁費用は約100万円)。』
<註:医療機関は、治療費を『診療報酬』として請求しますが、診療報酬は国が決め、医療機関が勝手に値段を決めることは許されません。そして、高額医療の場合、患者様は限度額を超えた分は払わなくていい仕組みです。
診療報酬 原価 粗利
TAVI 約500万 450万 50万-α
従来の弁置換術 約500万 100万 400万-α>
・・・こうしてTAVIが病院経営を圧迫している、との内容でございました。
徳洲会グループは、これによって利益率が低迷してもTAVIを推進する方針でございますが、全国の医療機関の中には、
『TAVIをやればやるほど、病院経営が圧迫される。』
と言って腰が引けている病院も少なくございません。
TAVIによって入院日数は大幅に短縮され、術後3~5日で退院できます。
術前の処置や検査を含めても、入院期間は1週間以内で済みます。
当然、術後管理も含め、以後の医療費は安くて済みます。
また、TAVIは社会復帰が早く、しかも術前よりも術後は元気になりactivityが増すケースが少なくございません。 これは、深刻な人手不足に喘ぐ日本にとって福音です。
従来の開胸による人工弁置換術からTAVIへ、日本は今こそシフトすべきです。
TAVIへと流れを変えるべきです。
医療費、労働力、あらゆる面に於いてTAVIは有益です。
その様な重要な過渡期に、多くの病院が利益率の薄さから・・・診療報酬が安い&デバイスが高額・・・TAVIから腰が引けているのです。
TAVIへのシフトを推進するため、何卒、TAVIの診療報酬をお引き上げ下さいませ。
2024年診療報酬改定はもう目前。
既に内容が固まって居りますことは、存じて居ります。
でも、まだ1月。
TAVIをやろうという意欲を持つ病院が増える様に、この国にTAVIが育つ様に、2024年診療報酬改定でTAVIの診療報酬をお引き上げ下さいませ。
それを実現して下さいましたら、武見厚労大臣は歴史に刻まれます。
何卒、何卒よろしくお願い申し上げます。
かしこ
2024年1月29日
稲邊富実代」
皆様なら、どちらの治療法を受けたいですか?
TAVIの診療報酬が引き上げられ、
「TAVIをやりたい。」
という病院が増えてTAVIが普及すれば、価格競争が起こり、現在450万円のデバイス価格も必ず低下していきます。
その段階でなら、診療報酬を引き下げても大丈夫でしょう。
武見厚労大臣にお読みいただけますかどうか、わかりません。
たとえお読みいただけても、かなり時間が経ってからでしょう。
もしも私が国会議員なら、今すぐ武見厚労大臣にじかにお願いできるのに・・・だから、私はどうしても、どうしても国政に出たいのです(自分にとっては1円も得にならないのに・・・国会議員は、真面目にやったら赤字になり借金だらけになる職業だと分かっているのに)。
皆様、心の中だけでも結構ですから、どうか応援して下さい。
私には、それしかありません。