親愛なる皆様へ
いつも「プリマドンナ・デルモンド 誰も知らないモナリザの秘密」を御愛読下さり、心から感謝致して居ります。
40人の入院患者様を受け持つ身ゆえ、思うに任せず皆様への感謝の気持ちを十分に表し切れていないことを毎日気に致して居ります。
その上、大変なことになってしまいました・・・
2016年12月29日、私にとっては軍師であり、私にとっては全てであった母が永眠致しました。
多くの病院職員が、私が悲しみと衝撃のあまり立ち直れなくなるのではないか、と心配してくれたほどでした。
しかも、精神面の打撃だけでなく、私は家事も車の運転も生活の全てを母に完全に依存していたのです。
母が入院するまで私は、銀行の通帳もカードも、お風呂を沸かすスウィッチも、車のハンドルも、触ったことがありませんでした。
母が入院した時、私は泣いている暇も無く、車の運転からお風呂の沸かし方から何から何まで一気に一から覚えねばなりませんでした。
あれから7年。
何とか仕事や社会生活に支障を来さない様にするのが精いっぱいで、それだけでも病院職員は感心してくれましたが、いまだに家の中・・・家事は目茶苦茶です。
第一、40人も入院患者様を抱えて居りますと、土日祝日も無く、夜中も頻繁に病棟から呼ばれ、まさに私の生活は徳洲会グループの理念(これを毎朝の朝礼で唱和します)「年中無休24時間オープン」状態です。
そのため、週末が来るたびに
「今日こそ家の中を片付けよう。今日こそ」
と決意しても決意しても、ほぼ必ず病棟からお電話がかかって来て
「わかりました。すぐに行きます。」
と血相変えて病棟に駈けつける日々。
その結果、「私の家政婦ナギサさん」のCMが放映された時、ヒロインのお部屋の様子に
「あっ、誰かが私の家の中を見ていたのかしら!?」
と本気で思ったほど、そっくり(もっとひどい?)だったのです。
ところが・・・昨夜帰宅すると、一枚の紙がポストに。
それはLPガス法定点検調査のお報せで、それを受けないとガスを止められてしまうのです。
この足の踏み場もない所へ、どうやって?????
ナギサさんはいないので、私が患者様を診ながら自分で片付けねばなりません。押しつぶされそうな膨大な散らかりの山を(これが、患者様の命を守った証です)。
今迄からも読者の皆様への感謝の気持ちを十分表しきれませんでしたが、無事片付けて(無理?)LPガス法定点検を受けるまでは、今よりもっともっと不義理することになるであろう、と考えただけでも辛くて、申し訳なくて、涙が出ました。
どうかお許し下さいませ。
黙って不義理するよりも、前もってはっきり説明し お詫びした方がいいと思って、意を決して筆を執らせていただきました。
どんなに不義理していても、私の心は皆様への感謝の気持ちでいっぱいです。
何卒これからもイザベラをお見守り下さいませ。
よろしくお願い申し上げます。
師走に入り、急速に寒くなって参りました。
どうぞ皆様、くれぐれも御自愛下さいませ。
かしこ
2023年12月6日 稲邊富実代
追伸:
このお手紙をしたためながらあらためて、愛する読者の皆様にこんなお手紙を書ける幸せをかみしめました。 私は独りじゃない、って。
皆様、有難うございます。