それは涙の形でも、三日月の形のビスケットでもなく。
そんな詩的な話ではなく、めっちゃ私的なものがたり。
昨日、朝の研修ギリギリに駆け込んで来た同期が
「今日は○ンタッキーに行きたい」
とつぶやくので、午前中私の頭はチキンでいっぱいになってしまった。
晴れて研修終了。
「今日はめずらしく寝てなかったじゃん」とほめられる。
うん。いつも小説書いてて寝不足なんだよ。てへ。
私はタッキーに来るのは、めっちゃ久しぶりである。
ランチのフィレサンドセットをオーダーするものの、だいすきだったビスケットが気になるので、別に1こつけてみる。
ビスケットってこんな味だったかなー。
○スドのオールドファッションも、○ージーコーナーのミルクレープも、○トールのホットドッグもそーだけど、昔の味とどんどん変わっていくよなー。と感慨にふける私に、同期が一言。
「ねー、なんでつけないのー?」
「あー、このテリヤキソース? だってポテトは塩味だけで十分」
え? 同期がつぶやく。
「いや、これはメープル。ビスケットにつけるやつ」
はぁああああー。あー、そだよ、ビスケットにはメープルじゃん!
ほんの最後の一口のかけらになった悲しみビスケット。
もっと早く教えてよー。
そのメープルってば、辛子色で、ポテトの横に添えられてて、なんだろ、これ、マスタード味? テリヤキ? あるいはバーベキュー味?
やーだ、いらないってば。
……って、勝手に思っていた時の私に戻りたい。できるならタイムトラベル。
かくて、親指とひとさし指で作った丸くらいの大きさになったビスケットに、メープルちゃんをかける。うー、すごいうまーい。
あああー、仕方ない。珈琲に入れよう。
ペンネームを変えようか迷い中の むつきより。