『瑠璃琥珀堂綺譚』を読んでくださるみなさま、本当にありがとうございます。
物語をつづるという行為は宇宙にむかって信号をおくるのに似ていて、誰にもとどくことなく、ひっそりと途切れてしまうという恐怖が、いつも隣りあわせにあるように感じます。そんななかで、技巧もなく意思も薄弱な私がこうして物語をつむいでいられるのは、つたない文章から物語を汲みとってくださるばかりか、応援までしてくださるみなさまがたのお陰です。お礼の言葉はいくら書きつらねてもたりることはありませんので、もっとよい物語を織ることでお返しをさせてください。
「黄鶺鴒の章」は第五十話「コードブルー」をもっておしまいになります。
チェロを弾く音楽の先生と小鳥という構図が絵になるとおもって書きはじめた峯岸先生と黃羽さんの物語は、いざ骨組みから文章におこしてみると、「猫の巻」の四分の三ほどの長さが必要になってしまいました。あきらかに私の見積もりのあまさが原因なのですが、いつおわるともしれない物語に、辛抱づよくお付きあいいただけて、本当にうれしかったです。
さて、今後の『瑠璃琥珀堂綺譚』は、巻の名前になっている断事司を中心に物語が動きはじめるのですが、すこしお時間をいただいて、新章の準備をさせていただきたいと存じます。準備がととのい次第、活動報告やTwitterにてお知らせさせていただいたうえで連載を再開いたしますので、その際にはまた結たちの物語にお付きあいいただけると幸いです。
では、また物語のなかで、お会いいたしましょう。