三衣 千月

　クラスの誰とも仲良くしようとしない山下。 　そんな彼に在る日、クラスの中心的人物である彼女が助けを求めてきた。 「お願い！　あたしと一緒に肝試し行ってくれない！？」 　山下…

08/08 18:00 ~ 08/08 23:59までの間に三題噺を……！？ できらぁッ！ ってなった人達の作品の集まり。 お題『空欄』『花火』『死体』

　唐傘お化けの傘次郎は、妖怪になってからまだ十年と経っておらず、人間世界の生活や習慣にとても興味があった。なかでも特に、彼女をつくってみたかった。 　ある日、カワイイ唐傘お化けを…

　ふわり、一反木綿が世界を巡る。 冒険がしてみたいと生まれ故郷の日本を飛びたち、ひゅるひゅると気の向くままに。 　ある日、小耳に挟んだ人魚の秘薬の話。 飲めば足が生えるというそ…

ラブラブおうち映画を楽しむ私のスマホに一通のメッセージ。 そこには「早めに終わった。今からそっちに行く」という彼氏からのメッセージ。 この状況はどう考えてもヤバい。 彼氏にバレ…

三衣氏がまだ独身街道を突き進んでいた頃、友とラーメンを食しに行った時の手記をここに遺す。 氏はラーメンを愛しているが、ラーメンは決して氏を愛してはくれないのだ。

どれほど前になるかは詳しく覚えていないが、三衣氏が京都で紅茶を飲んだ日の手記をここに遺す。 紅茶を飲むために出かけた氏が、人生とは何かを問いながら紆余曲折の果てに目的を達成する…

菓子の国の中でも、平和な国である和菓子の国。 だが、今では悪逆非道の限りを尽くす煎餅組に牛耳られている。 そこへ現れた、旅の焼き菓子。 湿気に弱いその焼き菓子は、たい焼きの頭を…

彼は、ずっと彼女と同じ部活に入りたいと願っている。 入部届を用意し、幾度となく部長である彼女の元へ。 結果は、いつでも失敗。 入部届を受けとってはもらえず、けれど「また次を待っ…

「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコンテストに応募するための作品を書く、ある作家の苦悩と幻覚の記録。

母が家を飛び出した。 緑のたぬきに負けたのだ。 父は緑のたぬきをこよなく愛し、緑のたぬき検定・特級を持っていた。

今は会えなくなった彼女のことをふと思い出す。 高校の文化祭の準備で放課後遅くまで残っていたある日のこと。私と彼女は、確かに知ったのだ。幸せとは無形ではなく、しっかりとした形があ…

私は、卒業式の涙の別れもそこそこに教室から駆けだした。

楽園、エデンの管理を任されていたアダムとイブ。 そこへ、智恵の実を食べるよう蛇がイブをそそのかす。 アダムにも智恵の実を渡そうとしたイブはしかし、その場で光となって消えてしまう…

祖父の探偵事務所を継いだのは、楽ができると思ったからだ。 なのに、今日も根古の元には助手がどこからか集めてきた依頼の山ができあがっている。 彼女の名は、根古 祢々子。 どの依頼…

ちゃうねん。一発、日本からアメリカに軍艦送って見栄張らなあかんやろって幕府が言うさかいな？ サンフランシスコくんだりまで行ったんや。 いやそしたら向こうの軍人さんがえらい勢いで…

ギャル、異世界へゆく。 狩るは魔物、目指すは世界最高のメイク。

一冊の本に挟まれた、栞のお話。

ファンの集いというものに、初めて参加した。 学生時代からずっとファンだった作家のそれだ。 存分に作品について語り合えるなんて、夢みたいな時間だった。 初期の作品から追いかけてい…

スマートフォン。それは文明の利器。 ここ１０年ほどで爆発的に普及した知の集合体。 人類の必需品にまでなったそのアイテムは、何でもできる、の代名詞とも言える。 ただし、手元にあ…

６０００万年前の地層から、スマートフォンの化石が出土した。 そのニュースに、人類は大いに沸いた。かつての物質文明を解き明かす大きな鍵になると考えられたからだ。 情報はマインドニ…

放課後の教室には、二人を除いて誰もいない。 夕暮れの茜が、教室を、彼女を、彼を染めている。 彼女は机の上に座って足を組み、挑戦的に言った。 「さて、それでは問題です」 ――…

小さな頃から絵を描くことが好きで、絵筆とキャンパスさえあれば他には何もいらないと思っていた。 いくつもの賞をもらったけれど、彼女はそれでも満足しなかった。 ある日、ふらりと立ち…

ダイナマイトによる、ビルの爆破解体。それが彼らの生業だった。 轟音と土煙。一見して派手なその倒壊現場には多くの見物人たちが集まる。 娯楽の少ない地方の都市などであれば、立派なエ…

悩める中学２年生、和唐菜 以蔵くん。 なんでもかんでも分からない彼は、今日は何が分からないのかな？ 直観おねーさんが教えてあげよう！

いつも、祖父の仕事場にいた。 背中を丸めてぴたりと動かず、それでも手元だけは精密に動かしていた祖父。 祖父は、細工師だった。 その節くれだった指先から、作品が生まれる瞬間を見る…

詩歌で名を残すこと叶わず、その身を虎に変えてしまった李徴は、かつての友、袁傪に出会う。 しかし、虎になった己の身など晒せようはずもなく、草叢の陰で別れを告げる。 友が去ったその…

部屋を、いかに快適にするか。 これが彼の全てだった。 小学校のうちに、一級建築士顔負けの知識を独力で手に入れた。 理想の家具がない、と作ったサイドテーブルはグッドデザイン賞を獲…

帰宅部は、屈指の運動部である。 それは世間の一般常識であり、今や誰もがそう思っている。 時間内に帰宅するために日夜激しいトレーニングに励み、その美しさを競うために食生活の管理に…

社会に出て数年もすれば、それなりに働き方というものも分かってくる。 代わりに、私はそれなりに色々なものを犠牲にしたと思う。三十路に片足突っ込んだような年齢になっても彼氏の一人い…

地元が嫌で、ただそこから抜け出したい一心で大学進学と共に上京した。 けれど、うまく馴染めず、やりたいこともなく、ただあてどもなく街を見るだけの日々。 ある日、吉祥寺駅から少し歩…

映像撮影の現場には、とても多くの人間が関わっている。 監督、役者はもちろん、細かい仕事をするスタッフたちも撮影を支える重要な役どころだ。 助監督補佐見習い。 そんな雑用なのか本…