動詞の時制には「現在形」「過去形」「現在進行形」「過去進行形」があります。これらを使い分け、組み合わせて小説を書いていくわけですが、「過去形」がいちばん安定感があります。
ある物事について文章で表すとき、その物事はすでに起こったことなので、論理的に書くならば「過去形」か「過去進行形」を使うのが正解なのです。
私は近況ノートを書いた。
私は近況ノートを書いていた。
「過去形」と「過去進行形」はいつ読んでもらっても間違いではありません。
私は近況ノートを書く。
と「現在形」で書いた直後、すでに「近況ノートを書く」という物事は過去のものになっており、「過去形」で書くのが正しい物事になっているのです。
以上のことは論理的ですよね?
でも小説に疾走感を出したければ、過去形は使わない方がいい。現在形でたたみかければ、疾走感が出る。正しさなんてくそくらえ。過去形は使わない。
そういう考え方で野球小説『世界の敵と愛し合え!』を書きました。
初稿では「過去形」をまったく使わなかったのですが、さすがに無理がありました。2稿でかなり書き直しています。『世界の敵と愛し合え!』は11月29日から連載します。