乙一先生、中田永一先生、山白朝子先生が同一人物であるというのは、有名ではありますが、驚くべき事実であると思います。どの名義の作品も面白すぎます。
ミステリー、恋愛、ホラーの名作を書き、児童文学でもヒットを飛ばしていらっしゃいます。私は一時期むさぼるように読み漁っていました。
昨日、中田先生名義で児童文学として書かれた「彼女が生きてる世界線!」の2巻を読み終えました。
子供がこんなに面白い小説を読んだら、大人の小説が物足りなく思えてしまうのではないかと心配になりました。
児童書で全3巻が出版されているこの作品はすごい傑作なので、2024年6月に1冊にまとめた形で一般書としても発売されました。
「彼女が生きてる世界線!」は転生ものです。社畜として生きていたサラリーマンが交通事故で死に、「きみといっしょにあるきたい」というアニメの世界の悪役に生まれ変わります。
怖ろしい形相の悪役が、共感できる主人公になる。そこに中田先生の素晴らしい手腕が発揮されています。ラノベの転生ものだと、悪役でも顔がいいことがほとんどですが、この作品の主人公城ヶ崎アクトは顔が悪いです。そこが特にいい味になっているのです。
アクトは元悪役で顔も怖いですが、素敵な正義の心を持っています。3巻を読むのが楽しみです。