遙夏しま

子供時代に起こる、不平等で不均衡な成長の情景を、「わたし」が未来から思い返して描く短編作品。 ［あらすじ］ ものごころついたときには周囲からブタと呼ばれていた。 智枝という名前…

暮らし系小説。「あらゆる物は動きつづけていて、記憶だって物質みたいに動いているんじゃない？」っていう思いつきを掃除をモチーフとした短い物語にしたもの。 ［あらすじ］ 実家に帰省…

人はみんな生活の余白に「過去」を生きている。月にいってもきっとそう。 ［あらすじ］ 月ではコーヒーがうまく淹れられず、僕は紅茶ばかり飲んでいる。 月は昼と夜がそれぞれに長く…

満ち足りた静かな日々のなかに潜む、冷ややかな不安を情景として描く。 『バスにの乗って海へいく』と対になる短編小説。 ［あらすじ］ 父である「私」は夜中、息子に起こされて眠れなく…

思春期時代の感情論。 言えない言葉たちの爆発。 中学生「わたし」の不均衡でまっすぐな成長物語。 ［あらすじ］ 中学生の女の子である「わたし」は眼鏡をかけているけれど勉強がで…

妙に細部のはっきりした夢を見た。ストーリーがあって意味があるような、ないような夢。私は電車を待つ列の先頭にいる。気になったため個人的な記録として夢の内容を書いていたとき、窓ガラス…

ちょっと休憩。妄想の海の中でゆっくりする短い小説。 ［あらすじ］ 新調したヘッドフォンから雑音がして困る僕。 雑音は海月（くらげ）が泳ぐような音に聴こえ、それを聴きながら、…

「怒り」、「暴力」といった人間性を、どう自分の内面で現実世界と折り合いづけていくのか。 子供時代の「怒り」に対する成長変化をモチーフに描いた不気味な物語。 ［あらすじ］ 主人…

人生の終末期に訪れる「苦悩」はひとの想像をかんたんに超えてくるのではないか。 ［あらすじ］ ある老人医に悪魔が「みっつの血を混ぜろ」と話しかける。 疲れきった老人はアルツハ…

なんの意味があるかはわからない。 それでもどうにも意味がありげで忘れられない。 あの静かで長くて終わりの見えないホームルーム。 ［あらすじ］ 1996年。当時、小学四年生だ…

「善良な人々が自分の"外"に追いやってきたものたちは、今もどこかで何かをしているではないか？」 そんな直感をコンセプトに描いた短編小説。 ［あらすじ］ 日本からアメリカに移り住…

大学生の女の子「わたし」が、朝、お風呂に入ってからサンドウィッチをつくるまでの、淡々とした考えごとを描いた話。 カクヨムWeb小説短編賞2020 中間選考落選。

じつは私も周りにいる人々も、すでに人間ではなくなっているのではないか？ 人間であるってなんだろう？ 人間関係ってなんだろう？ そういうふと思いつく奇妙な疑問を、情景に描いてみ…

人生のある期間では「捨てる」ことがとても重要になる。整理整頓。でも、もちろん捨てることには「喪失」もある。それを忘れてはいけない。 ［あらすじ］ 28歳になった女性の「私」は突…

どんなに親密で分かり合える相手にも、手には触れられない「互いの空白」ってものがあると思う。 見えているものよりも、見えないそれをどう包み込むかで、私たちの物語は変わってくるのだ…

台風を前にしたある日、彼女に頼まれてゴ○○リホイホイを仕掛けた主人公。次の日、そこにかかっていたのはヤモリだった……。 小さなものに対する束の間の心の揺れ。行為と思考が連続的な響…

とある音楽アーティスト、トミナガの苛立ちの話。 曇った冬の日に車を運転しながら、ダッシュボードにしまった煙草を吸おうか吸うまいか、モヤモヤと悩むトミナガ。彼は一本の電話を待ってい…

郷里へ帰る道中の主人公の男性、「僕」は、なぜかいつも気乗りしない実家への帰省を、毎度、寄り道しながらもつづけている。 実家へ帰るたびに思い出す、子ども時代の少し奇妙な記憶。絡み…

料理教室に通う女性、「私」こと折江さんと、同じグループになった三燈くん、ふたりの会話を描いたワンシーン。会話から現れる時代背景。折江さんや三燈くんへの共感から導き出される、いつの…

コーヒーレッスンと聞き間違えて、友人と「コヒーレンシーについて」のメンタルセミナーへ参加した女性、「私」のワンシーン。 隣に座って熱心にメンタルセミナーを聞く友人は、私よりもは…

満ち足りた静かな日々のなかに潜む、冷ややかな不安を情景として描く。 『緑のおうち』と対になる短編小説。 ［あらすじ］ 室内で息子と遊ぶ母の「私」。 その情景と、彼女（とその家族…

デスクワークのあいまに息抜きのつもりで空想エッセイを書いて遊んでいた執筆業の男。半分現実、半分フィクション。空想と現実の境目に存在する群島に自分が迷い込み、そこをさまよっている体…

なぜ覚えたのかもわからない幼少の頃の記憶が、その後の人生の要所で何度も蘇ることがある。意味があるとも思えない中立的で個人的な心象風景のなかに、人は曖昧なものごとの解釈を委ねて長い…

「作家になりたい」が口癖でアマチュア作家な俺。 広告代理店に勤め、統括本部長をする彼女。 何を書いても売れない作家と、どんなものでも売れる営業マン。 あまりに売れない俺が妬み半…

種が落ちてくる世の中になってからはもうだいぶ経つ。 種といっても草木や花の種子ではない。そもそもそんな小さな粒ではない。直径二メートルから大きいと五メートルほどある巨大な岩状のも…

俺、死んだんだ。たぶん。 気がつくと真っ白い空間で行列に並んでいる。 ラーメン屋の行列のようにみんな静かで、真顔で、スマホも持たず、おとなしく整列している。 同じようにして並…

小説を書く人にとって「面白くない」ことは致命的です。 小説を書く誰もが「面白い物語を書くにはどうしたらいいか？」という命題を抱き、それに腐心しています。 面白い物語を書くため…