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妖精令嬢とよもやま話 #3 天文台へ行こう!

 拙作「妖精令嬢と識欲魔人」のよもやま話をご紹介していくコーナーです。
 こちらは特に読まなくても小説そのものの読書体験が大きく左右されたりはしませんので、お時間と興味があれば、覗いてみてください。
 
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 今回は魔法研究機関、『王立天文台(シュテルンヴァーテ)』についてご紹介していきます。
 フレデリックをはじめ、作中の多くの人物がこの『王立天文台』に所属しています。今後も何かにつけて出てくることでしょう。長いので、以降『天文台』と表記します。

 天文台の所在地はレーヴライン王国・首都ファウゼン。貴族たちの屋敷が建ち並ぶ貴族街と、一般庶民の住む平民街の境目ほどの位置にあります。

 身分の高い者ほど高い場所に住んでいる、というファウゼンの構造をして、例外的な位置付けにあると言えます。これは魔法使いが「世襲や血統により輩出される存在では無い」ことが関係しています。王族や貴族であれ、素養があれば魔法使いとなることもあるため、天文台は両者の境であるこの位置に建てられたのでしょう。

 天文台というだけあって、本棟は高さのある建物になっており、その威容は貴族街からも一目瞭然です。ファウゼン以外の都市にも、国の認可を受けた魔法研究機関がいくつか存在しますが、それらすべての頂点に立つのがこの『王立天文台』です。

 天文台は、国内外のあらゆる魔法研究機関と比較して、かなり細かく厳しい規定が定められていることも特徴です(第9話の序文に一部が抜粋されています)(宣伝)。
 これらの規則を守る必要がある故、天文台の魔法使いたちは世間的に大きな信頼と権利を得られていると言えますが、同時に自らの能力の多くを制限されていると感じ、天文台に所属することを望まない魔法使いもいます。このあたりは好き好きといった感じでしょうか。

 では、天文台へ所属するにはどのようにすればいいのでしょうか。
 方法は至ってシンプルで「入所試験に合格する」という、現実世界でいう大学のような感じです。
 例外的に、外部から招かれてプロジェクトに参画することで一時的に天文台の所属になる魔法使いもいますが、非常に稀な例です。

 入所試験には、書類審査・学力試験・適性検査の3段階が設けられ、それらに合格することで「研修生」として在籍する事ができ、三年間の基礎学習期間に入ります。入所試験自体に年齢の制限はありませんが、概ね17〜18歳くらいで受験する人が多いようです。

 研修期間中は特定の学科に所属することはせず、各学科の講師から講義を受けます。その間に自分の適性や興味のある分野を見極め、研究員としてどこの学科に在籍するかを決定するというわけですね。
 在籍する研究員が増えることで、割り振られる予算や設備使用の優先権が変わってくるので、各学科は研究員の獲得に熱心です。主な学科をいくつかご紹介しましょう。

 ■天文科
 天文台の代表といえる学科。暦や星図の作成、天気予報や占星術の研究、惑星外の知的生命体の調査など、一般の人々に関わることから専門的なことまで、幅広い分野を含む学科です。
 一番人気と権威のある学科であり、研究員の在籍数もその歴史の長さも随一です。作中では二章に登場するマイヤ・ニッコラが在籍しています。

 ■薬学科
 実は天文科と並んで歴史のある学科。フレデリック、アルブレヒトが所属しており、おそらく作中一番出番がある学科です。非魔法使いの間でも医学や外科技術が発達してきた昨今ではあまり人気がなく、魔法使いである必要が無いと言われている学科です。そのため、在籍数は非常に少ないです。
 魔法使いの作る薬は、魔法により特殊な薬効を持つものが多く、非魔法使いの間では今も昔も重宝されています。現実世界で言うところの漢方医に近い感覚です。

 ■紋章科
 紋章とはいわゆる魔法陣のことです。魔法陣は魔法を使う上で様々な補助的な効果を発揮する、魔法とは切っても切れない関係と言えます。近年は魔法陣に特定の作用の魔法を定着させ、非魔法使いにも扱える道具や装置などを開発するような研究が行われています。非常に伸び代のある分野であることから、高い人気を誇っています。

 ……などなど。
 他にも様々な学科が日夜研究に勤しみ、世俗への貢献を果たしています。

 今後もおそらくいろんな魔法使いが登場することと思いますが、この辺のことを踏まえて見てみるとへえ~と思えたりする時が来るかもしれません。


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本編は第二章がもうじき完結になります!
章タイトル「識欲魔人」だったけど、フレデリックさん……のことあんまり分かってない気がした(早めの反省)。

次回もどうぞお楽しみに。

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