【陽狂ルナティック】
推しメンコンテスト参加作。完結いたしました。無事に三万字で完走できてよかった。
とはいえ男子を書く練習だったはずなのに結局女子キャラのほうがキャラ立ちしてたような……。き、気にしない!
今回は文字数制限があったので文字数のために削ったものもたくさんあります。
なのでこぼれ話や設定などを記しておきます。たぶん私もすぐ忘れるので。いつか続きを書きたくなったとき用の備忘録ということで。ほとんどパソコンにメモってたやつの転載なので読みづらいのはご勘弁を。
〇稀癌
人の願いによって生まれる異能力。その自然法則から乖離した強すぎる力は罹患者の精神を狂わせてしまう。罹患者の大半は血が大好き。テンション上がって楽しくなるから。うーん、これは世界中で処刑されるのも仕方ない。
皇和国は術理で罹患者の狂気を抑制している。抑制中でも罹患者は異能をそれなりに使うことが可能。でも狂気に堕ちた精神でないと強く発揮できない。「例)夕俄は普段、自分の時間しか遡れない。狂乱すると触れている人間一人に限り遡れる。」
術理は領土由来。稀癌は人間由来。なので稀癌罹患者は世界のどこにいても異能力を行使できる。皇はたぶん、他国への攻勢のときのために罹患者を生かし、育て、支配しようとしているのだと思う。
ちなみに過去作『哀傷ゾルレン』でも登場している異能力。でも舞台になっている世界が全く別なので、細部がちょっと違ったりする。
〇術理
その国家や宗教、民族固有の魔法のような力。力の源は聖典だったり遺跡だったり国主の地位そのものだったり。それを破壊されると術理も失われる。他国の術理を潰して自国の領土にする術理侵略が盛ん。今のところ最大領土を誇るのはクェイン信教。原理を理解しないと使えない数式みたいなものなので高等教育に分類される。
自分とこの術理は領土の外に出るとまったく使えなくなる。最近は術理を失った国が科学を研究して武力を伸ばしてたりする。皇和国はちっこい島国なので侵略されにくいらしい。
〇邏卒
主に首都の警備を担当。現代でいう所の警察……というか特殊部隊みたいなもの。術理使しか邏卒にはなれない。一般人なら軍とかに入る。彼ら邏卒と、罹患者とコンビを組む特務邏卒は指揮系統が違う。特務邏卒は上に総長が一人いて、その上はもう直で皇。
〇忽那 夕俄(くつな ゆうが)
実はこの子が主人公。薄いミスリードのために罹患者っぽさを削られてしまったので影が薄い。普通に良い子だけど、なにかが欠けてる系の男の子。稀癌使いすぎて成長が遅いが実は相棒と一つしか歳変わらない。テンパのもっさり髪で隠れているが耳にすごい数のピアスを付けてる。暁によく暴力を振るわれているが、それは痛みに鈍った自分が新鮮な痛みにすぐ反応する練習のために彼に頼んでいることだったりする。たぶんM寄り。彼にかけられている術理は他の罹患者と違い、抑制ではない。元から狂気を殺してしまっている彼だから、むしろ戦闘の時には狂気を増幅してもらい異能を行使している。その解放感が堪らないらしい。狂気に狂ってる罹患者。
・裏設定
暴力的で支配的な父親を持ち、母親と弟を庇って代わりに殴られて罵倒される係だった。母親は弟が大きくなったら離婚すると言っているけど、それまで待てるわけがない。自分にある程度の筋力がついたら父親を殺すつもりだった。殺意がバレないように我慢しまくって媚を売りまくって。けどある日、弟が父親に一発殴られ、すると母親はあっけなく離婚した。離婚して父親から解放されたから、もちろん我慢する必要はない。けれど殺す相手もいない。もう我慢の必要はないのに、我慢をやめる意味もどこにもなくて、さらに我慢したまま自我を殺し続けた。おかげで彼は罹患者でありながら発狂していない稀有な例となる。母と弟が強盗にあっけなく殺された日に稀癌が暴走。駆け付けた邏卒に稀癌罹患者と判断され、園へ送られる。我慢しすぎて我慢してない状態を忘れてしまった彼は、暁の術理で強制的に増幅した狂気を体験したことで病みつきになり、彼の相棒となる。
〇美作暁(みまさか しょう)
主人公コンビの片割れ。目つきがアホほど悪い。視力は悪くないけど眼鏡をかけている。たぶん良家の次男とかあたり。有能なのにコンプレックスが強い。彼が他人を「ちゃん」付けで呼ぶのは滅茶苦茶怖い姉にそう強要されたのがクセになっているため。宇賀持のことだけ「くん」で呼ぶのは、出会ったころに「ちゃん付けはきついなぁ。せめて“くん”じゃだめ?」と言われたから。
・裏設定
主席で術理使の養成学校的なものに入学。傲慢な態度ですぐ孤立。友人は同級生にたった一人。ある日、学校内で罹患者解放連盟が少しづつ生徒を取り込んでいることに気づいた暁は、それを独自に調査して証拠を掴み、学園に報告。内部崩壊は防げたが、内部協力者だった生徒が処刑処分に。その生徒こそ彼のたった一人の友人だった。
最善を選んで行動しても最悪の結果になることがある。そう絶望した暁はしかし、今回の功績で園への出入りを許されるように。処刑された友人が「彼らに自由を与えたい」としきりに言っていた稀癌罹患者とはいったい何なのか。それを知るために園へ向かった彼は夕俄と出会う。なんやかんやあって卒業後のパートナー枠を約束した二人。無事に主席で卒業し邏卒となった暁は、友人を利用していた罹患者解放連盟を追い詰めることを目標に。そして自分の道を示してくれた夕俄の望む自由のためにできる限りのことをすると約束している。
〇在沙音(あざね)
あらゆるものを玩具みたいにモギモギできる。たぶん列車の結合部とか一瞬で外せそう。強度はあんまり関係ないみたい。便利。狂乱時には愛を叫ぶ。たぶんツンツンドS。この子の稀癌は成長すると関係性とかも外せる(壊せる)ようになると思う。むしろそっちが本質かもしれない。「彼」に近づく女をまとめて遠ざける的な。
女の子を出したくって書いた。狂った女の子は可愛い。重たい女の子は最高。恋に狂ってる罹患者。以上。
・裏設定
もとはいい所の箱入りお嬢様。両親は彼女が罹患者になったことを隠していたけど、末期になって屋敷の使用人を全員バラバラにしてしまっことで露見。園へ強制連行された。
〇宇賀持(うがじ)
なんか軽い。ずっとヘラヘラ笑ってるタイプ。パートナーがクソ重いからこっちは軽くしてみた。
・裏設定
術理使の養成学校に入り適当に邏卒に就職しようとしてたけど、たまたま護送される血まみれの在沙音を見かけて一目惚れ。努力して主席を勝ち取り、罹患者の相棒枠を手に入れ彼女を指名した。そのあと無事に彼女を口説き落とす。要領だけは良い適当男だが狙った獲物は逃がさない。
〇シャレイ・ルスファ
たぶんこいつが素で一番頭おかしい。稀癌のせいとか、悲しい過去とか特になく頭がおかしい。ベアと名付けたクマのぬいぐるみをずっと本物の妹として扱っていた。“妹”の認識がクマからニアにすり替わってからも「ずっと大好きな妹」として扱っている。その矛盾や記憶の祖語は彼女の中でいい具合に適当に処理されてるっぽい。妹のためならガチでなんでもできるタイプのシスコン。
・裏設定
ニアを連れて帰ったとき、両親は「妹が人間体になった!」と喜んだ。旅に出る時も「それが幸せなのなら」と喜んで見送った。決して頭のイカれた奴を放逐したかったわけではない、はず。
〇ニア・ルスファ
理性ではシャレイと距離を取っている。けれど本音ではお姉ちゃん大好き。狂乱中は本音がバンバン出てくる。在沙音と同じタイプの子。稀癌は他人の視線に干渉するもの。地味だが強力。たぶん力が成長すると他人の視界をジャックしたりできるようになると思う。名前は「ベアー(クマ)っぽい子」くらいに考えて付けました。家族愛に狂ってる罹患者。
・裏設定
クェイン信教に術理侵略を受けた地域の孤児。家族の顔を覚えていない。痛みに耐え、飢えに耐える生活を送っていた。ある日突然に美人なお姉さんに妹扱いされ、綺麗な家で三食昼寝付の生活を送ることに。最初はシャレイを気味悪く思っていたが、裏表なく優しく甲斐甲斐しく接してくる彼女に心を開いていく。しかしシャレイが見ているのは「妹」であってニア自身ではないことに気づいていた。その鬱屈した感情はやがてニアを狂気に引きずり込むこととなる。
〇帆足(ほあし)
文字数削減のためにいろいろ展開を巻いた結果に誕生したキャラ。とにかく声がうるさい。
・裏設定
たぶん暁と同期。成績は上位だったが罹患者への嫌悪感があったため一般の邏卒になった。夕俄のことは柴犬みたいだなと思ってたまに餌付けしている。
ちなみに、陽狂ルナティックの意味は夕俄くんの本性を表しています。コトバンクから意味を借りて来ると、
【陽狂】いつわって狂気をよそおうこと。
【ルナティック】精神に異常をきたしているさま。
となります。楽しく狂ってるみたいな意味ではないのでご注意を。でも本編でそんなん出せなかったからただの裏設定です。
それでは「陽狂ルナティック」お楽しみいただきありがとうございました。