タイトルで並べた通り、「かむ」という字に当てる漢字でここ数日悩んでおりました。
というのもですね、ウチの作品はドラゴンが主人公で、噛みつく場面描写がすごく多いんですよ。今までは「噛む」という馴染み深いほうの漢字を使っていたのですが、これがどうにも違和感が隠しきれなくなりまして。この漢字を見ると、主に人間が噛んでいる様子を連想してしまうんですよね。でもウチの作品の主人公はドラゴンじゃん! なんかないの? となりまして。
それで調べてみたところ。漢字を使った、ひらがな以外の「噛む・嚙む・咬む・嚼む」という表記は全て非常用漢字なので、公用文に類するものでは使ってはいけないらしいんですよ。そマ?
じゃあ正しい文章を書くならひらがなで「かむ」一択ってこと? となるんですが、実際に自分の小説でやってみるとすごくパンチが弱いんですよね。思いっきり噛んでいる感じがしないんですよ。ということで早々にひらがな案は破棄しました。
そうなると漢字を使おうとなるんですが、「噛む」と「嚙む」は字体も印象も似ていてあんまり気が進まず、「嚼む」は咀嚼の意味合いが強いのでこれもまぁ無し。となると「咬む」になりますが、これは意味合い的にも攻撃的な表現に近く、獣が狩りで命のやり取りをしている描写にはぴったり……と思ったのですが、なんかこれも違和感が取れない。なずぇ?
さらに調べたところ、「咬む」という字は、前歯を使って鋭くかみつくみたいな意味を持つそうです。なるほど野生動物は口内の前に集中している歯でかみつくんだな、と納得したんですが、違和感の出どころがこれなら、場面によって使う漢字は使い分けるべきなのでは? という考えが浮上します。
実際、「咬む」で違和感の無い場面も多く、反面、奥歯を使ってそうな場面だと「噛む」が違和感が少ないんですよね。
それじゃあ場面で漢字を使い分ければイージャン、と言いたいところなんですが、読者の視点に立って物語を読むと、「噛む」と「咬む」が混在するのはそれが違和感になるんじゃないか? と今度は思ってしまったわけです。
この漢字を使い分ける事情は作者だから知っていますが、知らずに見たらただの表記ゆれにしか見えないかもしれません。いつか誤字報告とかで大量に送られてくるんじゃないか、これどうしたら良いんだ、となってしまいました。
……ということで、もう最終的に開き直ることにしました。「咬む」で統一します。でもどうしようもなく違和感がある場合だけ「噛む」を使っちゃおう。修正作業しよ。って感じの修正報告を兼ねた記事でした。
※追記
ヤバいちょっと待って! 「咬む」で修正作業を始めたら、思った以上に違和感ある! 「噛む」に慣れすぎたせいなの? それとも自分が人間だから?
自信が無くなってきたのでもうしばらく「噛む」で様子見します! なんて無意味な記事なんだ!
※再追記
OKわかりました。全てを理解しました。これからは「咬む」と「噛む」を必要に応じて使い分けることにします。基本は「噛む」で要所で「咬む」が一番違和感なく読めるとなんとなく試行錯誤してわかりました。もう何も怖くない。これからはそういう感じでやります。