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切ない話を書くきっかけになった本たちの話&ごあいさつ。(長文です)

やっと年賀状作成が終わって、やれやれな怜です。筆ぐるめのソフトを認識するまでやたらと時間がかかるうちのパソコンにため息をつきながらの作成となりました。年が明けるギリギリまで作らないのは、もはや毎年恒例な我が家の光景です。

カクヨムで初めて作品を公開してから、七か月半。もう、ですよ。時間が経過するのは早いですね。
まず初めに着手したのは男女のラブコメものでした。それまでNLなんて(なんて、と書きましたが決してけなしている訳ではありません)小説もドラマも拝見したことなかったのにもかかわらず、です。何がきっかけで男女の恋愛を書き始めたのか、自分でも分からないし不思議なんです。ただの思いつきというか、何気なく書いたような感じです。突っ込み気質な主人公と、可愛らしいけれど欠点のあるヒロイン、二人の恋愛を描きつつ温かく見守っていた初夏から夏が、もう懐かしく思えます。

……で、夏真っ盛りが終わろうとしていた時期に突然、切ない話が書きたくなり。
私の中で自然と「切ない=BL」という式が浮かんできました。切ない話なら男女の恋愛でも、いや恋愛を絡めなくたって書けるはずなのに。
それでも、男同士の切ない恋愛を書こうと思いました。その理由が、これから記す三冊の本にあるようなので、読書感想文よろしく手短にさらっと紹介してみようかと思います。

①沢木まひろ著 「きみの背中で、僕は溺れる」(六月読了)
ざっくり書くと、主人公の男子大学生が姉の婚約者と恋に落ちるお話です。……こうしてあらすじだけ見ればBLなんですが、私は読んでいて一口にBLとは言い切れないものを感じました。何故かと言えば、女性目線も絡んでくるからです。弟と旦那が恋仲になってしまった主人公の姉目線、そして主人公が男性しか好きになれないことを知っていながらも彼を慕い続けた女友達の目線。メインの男性二人を取り巻く女性がいるからこそ、切ない物語だと思いました。
ストーリーの切なさを際立たせていたのが、著者さんが書く綺麗な文章たち。涙の粒のように、所々に散りばめられた美しい表現に魅了され、心を震わせられました。

「私もこんな美しい文章を書きたい」そう思って、突発的に書き始めたのが『Where is』でした。この作品に影響を受けて書いたようなものです。
読了後も私の中でくすぶっていた切なさの火種を大きくさせたのが、次に書きますマンガ作品。

②キヅナツキ 「ギヴン」(現在進行形で読んでます)
こちらはれっきとしたBL作品です。昨年アニメ化もされ、今年の夏に映画も公開された話題作でもあります。音楽バンドもので、さらにBLという……正直、私の好みど真ん中な作品でした。
主人公(多分)の男子高校生はバンドでギターを担当していて、けれど最近は音楽をすることにつまらなさも感じ始めていました。そんな時に、赤いエレキギターを抱えた一人の男子生徒(ポメラニアン似なので、以下ポメくんと表記します)と出逢いその彼に〝ギターを教えて欲しい〟とせがまれます。実は彼が抱えていた赤いエレキは、幼馴染で恋人だった男の子の遺品で、ポメくんは恋人の死を乗り越えられずに日々を過ごしていました。そんな重荷を背負った彼の歌を偶然聞いて衝撃を受けた主人公くんは、ポメくんを自分のバンドに誘います。紆余曲折あり、とある夏の夜。ポメくんはバンドのメンバーの三人と共にとあるライブへ出演することに。そこでポメくんが歌ったのは、亡くした恋人を想う歌で……。回想も交えたそのシーンが、とても切ないんですよ。

私はアニメ版を先に拝見して、歌唱シーンで泣いてしまうくらい感動しました。
この作品は、オープニング曲・エンディング曲・劇中歌もとても良いんです。「ギヴン」という作品、そしてそのアニメ版に使われていた曲が、私の切なさをさらに加速させました。『Where is』で描くシーンを想像するにあたって、参考にした所もあったり。なかったり?(笑)
切なさに追い打ちをかけるようにして読んでいたのが、以下の文学作品でした。

③夏目漱石著 「こころ」(十月読了)
これはもう、あらすじなんて不要なほどの名作ですね。
決して明るい話ではなく、結末だって救いがありません。いや、唯一の救いと言えば「先生」が心から信頼できる人物「私」と出逢い、自分の過去を長い手紙を介して吐露できたこと……ですね。
作品の解説では、同性愛の話とも書かれていましたが、その辺りは特に深く考えずに読みました。まあ……、はっきり言えばやっぱり二人の出逢い方とか本編の「先生」の言葉とか、色々と違和感はありましたが。恋愛をありにしてもなしにしても、個人的には第二章の終盤に切なさと寂しさを感じるものがありました。「私」目線で読むと、たまらないですよ。この幕引きは。

――長々と書きましたが、この他にも映像作品から切なさを吸収したりもしてました。同性愛やBLに触れることの多い一年間で、気持ちが引っ張られる時も多かったです。
ここに挙げた三作品はどれもおすすめなので、このノートを読んで気になったものがありましたらぜひお手に取ってみて下さい。「ギヴン」はアニメと音楽もおすすめです。

急に男女の恋愛を書いたと思ったら別の話に浮気して……、毎日自分でもびっくりする文字数を書いてた時期もあれば全く書けなくなったり……。情緒も言動も不安定なことが多かった年でした。時には作品が伸びないことで悩んだり、誰かにかまって欲しくてしょうがなくなったりと苦しんだ時期もありました。あ、今はそれらの良くない感情は落ち着いています。
自分が物書きをする理由が純粋な「楽しみ」からいつの間にか「誰か読んで!」という承認欲求にすり替わっていたのが、今思い返しても怖いし驚きです。途中で気づけて本当に良かったです。大して楽しいわけでもなく、誰かに読んでもらいたいがために物語を書くだなんて、寂しいですからね。
私は、これからも人生の楽しみとして物書きをしていきます。時には誰かの心に残るものがあったり何かを伝えることができたなら、とても嬉しいです。

最後に、私の作品に触れて下さった方々、レビューや応援そして温かいコメントを下さった方々、出逢えた皆さんに感謝を。本当にありがとうございました!
来年も何処かで見かけた際は気軽に話しかけてくれたら嬉しいです。
それからいつも優しく見守ってくれるフォロワーの皆様。本っ当に、お世話になりました!不束者ですが、来年もよろしくお願いします。

それでは皆様、温かいものでも召し上がりながら穏やかに、元気に新年をお迎えくださいね。

よいお年を……!!

6件のコメント

  • 怜さま、今年はお世話になりました。私もカクヨムに来て、よかったな~と思える一年です。

    そうそう、書いているだけでよかったあの頃から、「読んで欲しい」に変わっていく気持ち、よくわかります(^^♪
    人に読んでもらって作品も生きてきますよね~。カクコンで手一杯でなかなか読みに伺えなくてすみません。
    来年はじっくり怜さんの作品読みますよ~!

    こころは高校時代に読んだ記憶がありますが、当時と今とでは読んでみたときの気持ちって変わるんだろうなって思います。

    BL作家のくせに、実は商用BLはほとんど読んでこなかったんですよね。きっといい作品なんだと思います。ギヴンはすごい人気でしたもんね!
    なんか読むと引っ張られる気がしちゃって……自分の作品に多大なる影響を及ぼしそうで怖いというのが本音でしょうかね。本当はもっと読んで勉強しなくちゃいけないんだろうけど…。

    カクヨムに来てからです。他の方の作品を積極的に読むようになったのは…。
    本当に新しいことです。カクヨムに来てよかった~。

    来年もどうぞよろしくお願いしますね。
    怜さま、よいお年を!
  • うさこさん。こちらこそ、たくさんお世話になりました!

    読んでもらえてこその小説……だけど、いつの間にか読んでもらうことにすがっている自分が居たような気がします。楽しい気持ちを忘れかけた日もありました。そういう時は、一度立ち止まってみるのも大切なんだなと学んだ年でもありました。
    お仕事にカクコンと、本当にお疲れ様です。いつも全力なうさこさん、とても素敵です。
    私のことは気にしないで下さいね。というか、こちらこそ読みに伺うペースが遅すぎて申し訳ないです……。うさこさんの作品、来年も引き続き楽しませてもらいますね。まずは〝星音堂〟を読破します!

    「こころ」は私も学生の頃に一度読んだのですが、あまりピンとこなかった記憶があります。当時よりも少しだけ見る景色が変わった今読むからこそ、心に響くものがありました。きっと、次に読んだ時も抱く感想は違うんじゃないかなと思います。
    商用BLは今年になって久々に読みました。BLジャンルに手を出すこと自体が久々で、なんだか懐かしい気持ちに(笑)
    「ギヴン」は読んでいて、音楽やりたい!!という気分になったマンガでした。内容には笑いも交えてあって、さらっと読めます。主要人物が高校生と大学生なので若者らしい用語が満載で、リアリティも感じました。
    引っ張られる気持ち、理解してもらえて嬉しいです……。いい影響だけならまだしも、余計な影響まで受けちゃいそうで迂闊に手を出せません。良くも悪くも感受性が強いのかもしれませんね。
    カクヨムで皆さんの作品を読ませてもらうと勉強になります。ほんと、ここに来なかったら得られなかったものも多かったんじゃないかなと思います。

    カクヨムに来て、苦々しく思ったことも良かったこともありましたが、やっぱり一番心に残っているのは皆さんからかけてもらった言葉たちです。温かくて優しくて、時には作者である自分も気がついていないようなことを気づかせてくれたり。どの言葉もかけがえのない大切な宝物です。
    近況ノートでうさこさんにかけてもらった言葉には、特に救われました。本当にありがとうございました。これからもつらくなった時には何度も読み返そうと思います。

    つい長々と書いてしまいました。こんな私ですが、来年もよろしくお願いします<(_ _)>

    うさこさんも、よいお年をお迎えください……!
  • 早速キンドルで「こころ」を無料ダウンロードしてみました!うん、教科書に載ってたのと、姉がすごくオススメだと言ってたけど、ぴんときてなくて、今更読んでみようと思います!

    実を言うと、怜さまがPV数など気にしておられたというのをどこかでお見かけし、「えーっ」と思うとともに、何だか妙に「あ、そっかー」って、急激に自分の中でのPV数依存が下がっていったというのがありました。私の場合は承認欲求というよりギャンブル依存のような、とにかく「フィーバー」が出たらいい日で、そうじゃないと一日どんより…みたいなのがあり、でもそんなの読者の方にも失礼なので近況とかでも言えなかったのですが…
    創作が進まないのにしてもお腹が痛いのにしても「あの怜さまですら…」と思うと、「なら私など、致し方がない」となぜか納得してしまうという…勝手におこがましい話ですが!(;^ω^)

    うさこさまもカクヨムでBL以外にも裾野を広げているようで、私も、怜さまの作品であれば、NLを読んでみようと思います!!なので来年は「あきうさ」デビュー!というわけでぜひぜひこんなやつですが、来年もまた仲良くしてやってくださいね!!(*'▽')
  • あとみくさーん!今年は本当にお世話になりましたっ!!

    「こころ」は教材にもなってますよね。私は二回とも本で読みましたけど。なぜ、何がきっかけで読んだのかは覚えてないのですが、何というか……人の孤独とか人が抱く感情の複雑さとか、色々と考えさせられるお話しだと思いました。

    ギャンブル依存……確かに。近いですね。毎日PV数チェックして一つでもついてたら嬉しい!みたいな。最近ではチェックする回数も格段に減ったし、何よりいちいち数を覚えてない、みたいな感じで緩く生活してます。こっちの方が楽でいいです。
    近況ノートに書けなかったことをこの場で吐き出せてもらえて良かったです。ここを覗く方も少ないと思うので、また不安とか愚痴とか書き込んでくれたらと思います。

    もう、あとみくさんと出逢えてやり取りさせてもらえたことが今年良かったことの上位に入ります。「Where is」を書きながら、あとみくさんが毎話のように残してくれるコメントに救われてました。気軽にお話ししてもらえて嬉しかったです。本当に、本当に、ありがとうございました……!(*´ω`*)

    マジですか。「あきうさ」は「Where is」とはまた違うテンションのお話なので、合わなかったら遠慮なく途中で放置して下さいね!私も続きを書けてませんし……(^^;

    こちらこそ、来年もよろしくお願いします!!!
  • 明けましておめでとうございます✨
    昨年はお世話になりました😊

    君の背中に僕は溺れる、粗筋だけ見るとドロドロしていそうですが、美しい文章表現という怜様の感想読んで凄く読みたくなりました!
    こころも読んでみよう!

    私の場合BL漫画ばかり読んでるんで、ギヴンは電子で読んだことあるんですが
    やっぱり文章表現を鍛えるには小説も読まなきゃだよなと反省してみたり💦
    最近文章のパターンが決まってきちゃって、インプットが足りないとも思ったりしていたんで
    怜様がお勧め書いてくださって凄く参考になりました✨

    あとみく様のレビューから小説読ませて頂くようになって、まだ日は浅いですが
    怜様の小説に出会えて良かったです🌸✨
    今年もよろしくお願いします😊
  • 安藤さん。明けましておめでとうございます!

    君の背中に~は、確かにちょっとひと昔前の昼ドラみたいな展開もありました。一部分は。けど情景描写などが本当に美しく表現されていて、リアリティのあるファンタジー?という印象も抱きました。
    全体的に切ないお話ですが、後半の書き下ろしでは救いも見えてくるので、興味を持たれましたら一度読んでみて下さい。合わなかったら、すみません(汗)
    こころは名作なので、読んでおいて損はないと思います。注釈は現代人の強い味方です。

    私もBLはマンガばかり読んでしまいます……。去年、君の背中に~を読んで「あれ?BLを文章で読むの久々じゃない?」と気がついた次第です(笑)
    パターン決まっちゃってますよ……、すごく共感です。書いていて、なんかこの表現前にも使わなかったっけ……?ってことがたくさんあります。それで確認しようにも、どの話のどのシーンで使ったかもよく覚えてなくて困ります(^^;
    参考になったなら幸いです。私も、安藤さんのエッセイで以前読ませて頂いたBL小説を探してみようと思います。そもそも語彙力や表現力に乏しいので、BLに限らずもっと色々な文章を読んで勉強します!

    出会えて良かったと言って頂けるなんて……、本当にあの小説を書けて良かった(。´Д⊂)
    こちらこそ、昨年はお世話になりました!そして今年もよろしくお願いしますー!
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