忘却編四話目更新です。
主人公の内面がしっちゃかめっちゃかな回です。
そろそろヤーの気持ちについても整理させてあげたいんですが、色々頻発していて忘れかけ……おっと、失礼。
愛しい我が子のために、我が身全てを使って脅威を払おう。
ああ、だが、私はここまでだ。五歳の我が子を残し、私は逝く。
魂だけの私は最早、この凶悪な死霊共を連れて天へと駆け上がるしかない。
無念だ。しかしできるかぎりのことはやったつもりだ。
どうか。誰か。私の代わりにあの子を愛し、守ってくれないか。
常人ならざる才能を得たあの子の瞳。その奥に勇ましい獣が見えた。
瞳に宿った獣が、いつか我が子に牙を向ける。
武人によく似た者がいるのだ。獣を内面に潜ませ、飼い慣らすことで力に変える者。
だがあの子は武人ではない。泣き虫だし、甘えん坊で、孤独だ。
私ではこの子の全てを理解できない。ああ、誰か。どんなに時間がかかってもいい。
どうか我が子を愛し、守ってくれ。
頼む――私の、最後の願いだ。
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